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より深い食文化への知識が謎解きのスパイスに ミステリー食事学(日影丈吉) ダニーの食読草紙 将棋棋士・糸谷哲郎八段

産経ニュース / 2024年7月23日 11時0分

棋士を目指す過程では、修行中の子ども達は当然ながら実践を通して将棋の勉強を行うこととなるが、それでも時には座学も必要となる。将棋盤に向かうのではなく、定跡書を紐解かねばならないときもあるというわけだ。さて、今回紹介する「ミステリー食事学」は、いわば推理小説における食事の座学である。

ただでさえ座って読む小説にさらに座学が必要あるのか、と突っ込まれてしまいそうだが、海外の翻訳ものや、高級レストランなどを舞台にした小説においては、海外の料理やレストランで出される料理の事前知識が必要とされることもある。

著者・日影丈吉は推理小説家にしてフランス料理研究家であり、この本においては軽妙に私達を小説内での、そして海外における多種多様な食事の世界へと誘う。

本書には、美味しいフレンチから毒茸のように絶対に食べたくないもの、はたまた凶器となりうるような大きな肉塊まで、数多くの食材が登場する。スープ(ポタージュ)の英仏での違いにはじまり、ソースやケチャップの世界での扱われ方、さらには各地での獣肉の珍重のされ方の違いまで、日本で暮らして海外の食事を賞味するだけでは分からないことを学ぶことが出来る。

名探偵達の食文化への造詣が食事に関わる事件を解決することもあるように、より深い食文化への知識が謎を解き明かすこともある。

より深い食事への理解は、文章の味わいをも深めてくれるのだ。小説を読むための読書というのも時には面白いものではないだろうか。(将棋棋士 糸谷哲郎八段)

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