「しっかり考え、成長できた」 5連覇と永世王位獲得の藤井聡太七冠が記者会見

【将棋　第65期王位戦第5局】　対局を終え、撮影に応じる藤井聡太王位＝28日午後、神戸市北区の「中の坊瑞苑」（甘利慈撮影）

「対局のときは特に意識していなかったが、永世王位獲得はうれしいことだと思っている」。熱戦を終え、5連覇と「永世王位」の資格を獲得した藤井聡太王位は28日夜、対局後の記者会見で控えめに喜びを語った。

会見の冒頭、「永世王位」と揮毫した色紙を披露した藤井王位。「王位戦は2日制で、初めてのときは（1日制と）感覚が違った。長い持ち時間の中でしっかり考えることができ、成長できた部分が多くあった」と振り返った。一方で、「今シリーズは課題も見つかった。今後、その点を意識して、着実に実力を伸ばせたといえるようにしていきたい」と、気を引き締めていた。

藤井王位は6月、それまで維持していた8冠のうち、叡王のタイトルを失って7冠に後退。その後、ヒューリック杯棋聖戦と王位戦の2つのタイトル戦で連続して防衛に成功し、2つの永世称号も獲得した。その点について、藤井王位は「王位戦では第1局と第2局は内容が良くなく、少しあせりがあった。そこから何とか立て直して防衛できたことは良かった」と、ホッとした様子を見せた。

棋聖戦、王位戦と2つのタイトル戦を終え、9月からは王座戦、竜王戦と、タイトルの防衛戦は今後も続く。藤井王位は「気持ちを切り替えて、しっかり準備していきたい」と、意気込みを口にした。（田中夕介）