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湖面の風受け大きく膨らむ迫力の帆、遊覧船から楽しむ「霞ケ浦の帆引き船」 茨城・土浦 行ってみたい 水のある風景

産経ニュース / 2024年8月7日 10時0分

茨城県南東部に位置し、日本で2番目に広い湖である霞ケ浦。近年は湖を周回するサイクリングコースが人気だが、夏から秋にかけての風物詩となっているのが観光用の帆引き船だ。

湖面を渡る風を受けて大きく膨らむ真っ白な帆-。帆引き船は明治13(1880)年に地元漁師が考案した。帆を広げて風を受け、その力を利用して船を横滑りさせつつ進行し、水中の網をひいて魚をとる。シラウオ漁やワカサギ漁で使われたが、動力船の普及で衰退し昭和42年に途絶えた。その後、地域の観光振興に役立てようと46年に観光帆引き船として復活した。

現在も、霞ケ浦に面する土浦、かすみがうら、行方の3市で夏から秋にかけて操業している。平成30年には「霞ケ浦の帆引網漁(ほびきあみりょう)の技術」が国の無形民俗文化財に選定された。帆引き船に乗ることはできないが、随伴する遊覧船からその姿を近い距離で見物できる。

7月下旬。土浦市にある土浦港から、午後1時半発の遊覧船「ホワイトアイリス号」に乗った。一眼レフカメラを持っている乗客が多い。運航するラクスマリーナ(同市)の坪田哲也運航部長によると、「86人乗りの船だが、船内を自由に動き回れるよう、定員40人に制限している。撮影目的の乗客も多く、乗船券を買うために朝から並んでいる人もいる」という。

軽快なエンジン音とともに湖面を進んでいく。やがて、同市にある沖宿(おきじゅく)港を出た帆引き船が見えてきた。遊覧船で近づくと、帆は想像以上に大きい。高さは約9メートル、幅は約16メートルある。

遊覧船は、ゆっくりと帆引き船に接近し、周囲を回る。「風がないと身動きがとれず、風が強いと転覆の危険がある」という帆引き船ならではのバランスを取る難しさが、遊覧船から見ていても伝わってくる。

遊覧船に乗っていた東京都中野区の主婦(66)は「シラウオやワカサギのつくだ煮を何気なく食べていますが、昔はこんなに苦労して漁をしていたんですね」と感慨深げ。写真が趣味という千葉県柏市の男性(75)は「帆引き船を見るのは初めてですが、思っていた以上に迫力があります。朝や夕方の太陽でオレンジ色に染まった帆引き船も撮影したい」と盛んにシャッターを切っていた。

この日に見た帆引き船は2隻だったが、ラクスマリーナの担当者は「昭和30年代の霞ケ浦は夏になると、(多くの)帆引き船の白い帆で真っ白に見えたそうです」と往時の姿を語る。

オレンジ色に染まった帆引き船が、霞ケ浦を埋め尽くす-。想像しただけで夏の暑さをしばし忘れた。(篠崎理)

霞ケ浦の帆引き船 今年の茨城県土浦市での帆引き船の操業期間は、10月14日までの土日祝日。随伴する遊覧船「ホワイトアイリス号」は、午後1時半発のみ帆引き船に近づく。天候により欠航になるときもある。料金は大人1570円、子供780円。遊覧船を運航するラクスマリーナ(029・822・2437)へは、JR常磐線土浦駅から徒歩約10分。車の場合は、常磐自動車道土浦北インターチェンジ(IC)、桜土浦ICからそれぞれ約15分。

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