1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. カルチャー

日本有数の急流で暑さ忘れる三重の〝滝〟 治水の要・荒川地蔵原堰堤が涼を誘う 福島 行ってみたい 水のある風景

産経ニュース / 2024年7月29日 10時0分

「ゴォーッ」。流れ落ちる水の音が、深い緑に覆われた一帯に響く。飛び散る水しぶきに、少しだけ暑さを忘れる。福島市を流れる荒川の歴史的施設「荒川地蔵原堰堤(じぞうはらえんてい)」の周囲は、夏の強い日差しの中でも清涼感があふれていた。

福島市西方の吾妻連峰を水源とする荒川は、長さ26・6キロ。約1500メートルの高度差を一気に下り、福島市中心部で阿武隈川に合流する。国土交通省福島河川国道事務所の嶺岸由紀彦さんは「これほど急流で大きな川が、県庁所在地の真ん中を流れているのは全国的にも珍しい」と話す。

国交省の「全国1級河川の水質調査」で荒川は、14年連続で「水質が最も良好」とされ、流域には水林自然林、荒川桜づつみ河川公園、荒川運動公園など、市民の憩いの場も多い。

一方で、日本有数の急流は名前通りの〝暴れ川〟。古くから大雨の度に氾濫を繰り返し、土石流などで甚大な被害を出してきた。そのため、流域には川の勾配を緩くし流れを遅くしたりする砂防堰堤など、多くの施設が造られている。

中には江戸時代のものもあり、自然の脅威と戦い続けてきた歴史が垣間見られる。「荒川流域の治水・砂防事業」は土木遺産に認定され、流域にある15基の砂防堰堤は国の登録有形文化財にもなっている。

中でも、要の施設となるのが荒川地蔵原堰堤だ。荒川下流に広がる扇状地の扇頂部にあり、長さ74メートル、高さ8・7メートル。荒川流域で初めての堰堤として大正14年に完成した。

堰(せき)から流れ落ちる3段の〝滝〟は圧巻。豪快な音を聞き、流れを眺めていると、少しの間、猛暑を忘れさせてくれる。

堰堤に向かうハイキングコースも、緑が豊かで気持ちいい。今は洪水期で堰堤には近付けないが、11~5月の間は段差の部分を徒歩で横切ることも可能だ。近年は、首都圏などから足を運ぶ人も増えている。

近くにある荒川資料室には、荒川水系の立体模型や展示パネルなどがあり、流域の砂防事業や史跡などについて学ぶこともできる。スタッフの国原よし子さん(84)は「おいしい空気、さわやかな風などを五感で味わってほしい。川の歴史も学べる穴場です」と話している。

なお、一帯はクマの出没が確認された場合、立ち入り禁止になることも。出かける前は確認を忘れずに。(芹沢伸生)

荒川地蔵原堰堤 荒川地蔵原堰堤へは、荒川資料室(福島市荒井地蔵原乙1の21)から約800メートル。ハイキングコースで徒歩約15分。荒川資料室へは、JR福島駅東口から「土湯温泉」行きバスで約30分、「自治研修センター」で下車し徒歩約10分。車の場合は、東北自動車道福島西インターチェンジ(IC)から約10分。駐車無料。荒川資料室の開館時間は午前10時~午後4時。【問】024・593・3525。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください