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新婚旅行、7割が国内選択 円安やコロナ禍影響か リゾート感重視、人気1位は沖縄

産経ニュース / 2024年12月28日 16時29分

日本大国際関係学部の宍戸学教授

新婚旅行の〝内向き〟志向が高まっている。明治安田生命保険の調査によると、結婚して1年以内に新婚旅行に行った人の7割が行き先に国内を選択。沖縄や北海道の観光地が人気で、地方の活性化につながると期待も広がる。今年も続いた円安基調が影響しているとみられるが、新型コロナウイルス禍で海外志向が希薄化したことも背景にありそうだ。(堀川玲)

「まわりも国内旅行を選ぶ人が多かったし、円安で海外は高かったので」。松山市の美容師、宮岡航太さん(27)は今年10月、新婚旅行に沖縄を選んだ理由をこう語った。

結婚したのは昨年4月。新婚旅行は海外にしたいとパスポートを取得したものの、物価の高さから行き先を国内に切り替えた。「シュノーケリングでウミガメと泳ぎ、リゾート感を味わえた。結果的に大満足だった」

明治安田生命が今年10月に調査したところ、1年以内に結婚した人の70・6%が新婚旅行先に「国内」を選んでいた。理由は「国内に行きたい旅行先があった」(35・1%)に続き、「円安の影響で(海外は)費用が高い」(15・6%)が続いた。

大手旅行代理店「JTB」によると、旅行先の人気1位は沖縄、2位は北海道、3位は九州。沖縄は石垣島も4位にランクインしており、リゾート地人気の根強さがうかがえる。石垣市でウエディング事業を手がける「エクセル」代表取締役の仲松友美さん(39)によると、白い砂浜に澄んだ青い海が映える絶景スポットの川平湾が特に人気で「撮影がてら旅行に来る夫婦が増えてきた」という。

旅行代理店側も〝内向き〟志向を実感している。JTBの久保井美和・商品戦略課長は「新婚旅行先に国内観光地が選ばれる傾向が強まっている。人生の節目の記念旅行のため、非日常空間やロマンチックな体験が重視される」、近畿日本ツーリストを傘下に持つKNT―CTホールディングスの広報担当者は「ホテルをグレードアップするなど、少しぜいたくのできる国内旅行を選ぶ人が多い」と分析する。

近年は旅行を計画する際、交流サイト(SNS)を通じて情報収集する若年層も増えている。明治安田総合研究所エコノミストの前田和孝氏は「観光業は地域経済の重要な担い手。新婚旅行先に選んでもらえれば口コミの広がりも期待でき、周辺の飲食店も含めて潤う」と指摘している。

昨年は1千万人届かず

日本からの出国者数は、昭和39(1964)年の海外渡航自由化を皮切りに右肩上がりに増加した。令和元(2019)年の約2008万人でピークに達した。

全体を見ると、平成14(2002)年に中国で発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行や、20(2008)年のリーマンショックで一時減少に転じることもあったが、1600万人前後で推移している。

最も大きな影響が出たのが、海外渡航が制限された新型コロナ禍だ。令和2年の出国者数は約317万人で昭和52(1977)年水準まで減った。コロナ収束後は増えてはいるものの、令和5(2023)年は1000万人に届かなかった。

日大国際関係学部 宍戸学教授(観光学)の話 「マインド」醸成に課題

新婚旅行に国内を選ぶ人が増えているのは、円安や海外の物価高、海外旅行に対する関心低下など複合的な要因がある。

円安が進み、海外旅行費用は大幅に高騰している。航空運賃、宿泊代、食事代、お土産代など、もともと高額だった海外旅行の代金は、さらに高額になっている。

欧米諸国の人気リゾート地では物価が大きく上昇した。円安がそれに拍車をかける形で、海外旅行の大きなブレーキとなっているのではないか。

新型コロナ禍で海外渡航が制限されたことで、若者の海外旅行の経験が失われた。治安や言葉の不安といったハードルもあり、関心が薄れているのだろう。

インバウンド(訪日客)数が急回復する一方、日本からの海外渡航者数の回復は鈍い。政府もパスポート保有率の低下や海外留学をする学生の減少を懸念し、さまざまな事業に着手している。

観光庁も海外教育旅行の推進を図ろうと、学校や自治体と旅行会社のマッチングを進めている。若者の海外旅行へのマインド醸成は、今後の重要な課題となる。(談)

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