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横浜でもう一つの万博、2027年国際園芸博 知名度アップへ大阪の成功に期待

産経ニュース / 2025年1月3日 18時41分

造成工事が進む、2027年国際園芸博覧会の会場予定地=昨年11月、横浜市(黒川信雄撮影)

2025年大阪・関西万博の開幕が迫る中、国内でもう一つの万博の準備が急ピッチで進められている。横浜市内で27年3月~9月に開催される「2027年国際園芸博覧会」だ。有料来場者数1千万人、70カ国・国際機関の出展を目指す。まだ詳細を知らない住民も多いようで、関係者は「大阪・関西万博の成功が園芸博の知名度アップにつながってほしい」と期待を寄せる。

横浜市内にある相模鉄道瀬谷駅。昨年11月末に訪れると、駅に大量のポスターが貼り付けられていたほかは、開催地の雰囲気はほとんど感じられなかった。駅からタクシーで約10分。住宅街を抜けると、突然工事用の白い柵に覆われる地域が現れた。園芸博の会場建設地だ。

内側では造成工事が進むが、周辺住民の大半は「園芸博をやるのは知っているが、詳細は知らない」と口をそろえた。まだ、具体的な情報は乏しいようだった。

園芸博の舞台となるのは、2015年に日本に返還された、米軍上瀬谷通信施設跡地の一部だ。横浜町田インターチェンジ(IC)が近接する立地で、今後のまちづくりが課題となるなか、16年に横浜市が国に万博誘致を要望。21年6月に博覧会国際事務局(BIE)への開催申請が閣議で了解された。

園芸博の閉幕後、跡地は主に防災公園になり、隣接する残りの米軍施設跡地ではテーマパークや物流施設が整備される計画という。大阪・関西万博の会場が建設される夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)を再開発する大阪と、似た構図が浮かび上がる。

パビリオンなく、庭園主体の緑豊かな会場に

どのような内容になるのだろうか。運営する2027年国際園芸博覧会協会によれば、大阪・関西万博と異なり、園芸博では建物だけの「パビリオン」は設置されない。代わりに、参加国や国際機関、企業などは、一定区画に庭園や、庭園に建物を組み合わせたものを出展し、世界の園芸や食農文化を発信するという。ほかにも、テーマ館や日本政府による庭園などが出展される計画だ。

会場全体は5つの「Village(ビレッジ)」と名づけられたゾーンに分かれ、地球環境や自然について学べる区域や、最先端の環境技術を体感できる区域、よりよい生活を送るための食や農業などについて学ぶことができる区域などが設定されている。

運営面での準備も進む。公式アンバサダーには、人気俳優の芦田愛菜さんが就任。開幕千日前となる24年6月22日には、公式マスコットキャラクターの名前が約6千件の応募の中から「トゥンクトゥンク」に決まった。

小さな地球のなかにハート形の精霊がいるという姿で、協会のホームページ上では、トゥンクトゥンクと会話ができたりする。「デジタル時代に非常にマッチした」(協会の脇坂隆一・推進戦略室長)キャラクターで、今後は多面的な展開が期待されそうだ。

目標は70カ国・機関、懸命の出展要請

大阪・関西万博との最大の違いは「認定博」という位置づけだ。

協会によれば、大阪・関西万博のようにBIE加盟国の参加が不文律の習慣となっている「登録博」とは異なり、認定博は、開催国の働きかけが不可欠。そのため政府と協会は日本国内の各国大使館や、海外の日本大使館を通じた出展要請を懸命に進めている。目標は70カ国・国際機関だ。

万博の種類の違いもあるが、園芸博の会場建設費は約320億円。これは、大阪・関西万博の最大2350億円の7分の1程度だ。しかし、有料チケットでの来場者数目標は1千万人を想定している。決して低いとはいえない目標だ。

人工島で開催する大阪・関西万博と違い、近接する鉄道駅は4駅あり、協会はそこからシャトルバスを運営する計画だ。交通の便が良いこともあり、一定数の自家用車の乗り入れも容認する。

PRなどの予算も限られるなか、関係者が気にかけるのは大阪・関西万博の動向。協会の脇坂隆一・推進戦略室長は「大阪が成功することで園芸博への(一般国民の)知名度が高まれば」と話す。(黒川信雄)

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