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町の信仰集めた「御坊さん」 浄照寺 社寺三昧

産経ニュース / 2024年6月24日 6時30分

奈良盆地には浄土真宗本願寺派の拠点ともいえる5寺院「大和五ケ所御坊」がある。奈良県橿原市の称念寺と信光寺、同県御所市の円照寺、同県大和高田市の専立寺、そして「田原本御坊」と呼ばれる同県田原本町の浄照寺だ。

近鉄田原本駅で電車を降りて街中を東へと歩く。古い商店や民家が並び、レトロな雰囲気が漂っている。間もなく南北に延びる寺前通りに、浄照寺と田原本領主の平野氏の菩提寺である本誓寺(浄土宗)が東側に面して並んでいた。

浄照寺は太鼓楼(ろう)が目を引き、山門をくぐって境内に入ると江戸時代に建てられた阿弥陀如来立像を祭る本堂(県文化財)が風格を漂わせている。

田原本では安土桃山時代、羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)が柴田勝家に勝った近江・賤(しず)ケ岳の戦いで、功名をあげた「七本槍」の一人、平野長泰が領主となった。長泰自身はこの地には居住せず、浄土真宗・教行寺に、寺が中心となる寺内町の造立・運営を委ねた。田原本に陣屋を築いた2代目領主の長勝は、支配権を巡って対立した教行寺を箸尾(現在の同県広陵町)に移らせ、その跡地の北側に本誓寺、南側に現在の浄照寺となる円城寺を建てたと伝えられる。

田原本の中心部は寺内町、陣屋町として発展し、商業が栄えた。そんな町とともに歩んできた浄照寺の佐々木智住職は「浄土真宗は(世俗を離れる)出家宗教ではなく、在家の人の救済を重んじる教えとして信仰を集め、信者が集まって町を形成した歴史がある。寺内町の造立・運営に長けていました」と語る。

現在の浄照寺では、学習会や子供会などのほか童謡や歌謡をみんなで歌う「うたカフェ」(音楽ユニット『福市場』主催)も実施。宗祖の親鸞聖人をしのび毎年5月に営む法要「報恩講」では、かつてこの地域で法要行事だけでなく葬儀の際にも雅楽が奏でられたことにちなみ、雅楽・舞楽の公演も行っている。

「どんな年齢の人が訪れてもほっとする場であり、学びの場でもあればありがたい」と佐々木住職。今後は少子高齢化などで町の衰退も懸念される中、地域の人らが集う場としての寺の役割は大きい。

(岩口利一)

浄照寺田原本町茶町584。近鉄田原本駅から東へ徒歩約5分。境内は参拝自由。本堂などの案内は事前予約。(0744・32・2477)。

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