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外国人客の入場料4倍へ値上げ検討 二重価格で姫路城守れるか 観光公害対策で海外導入も

産経ニュース / 2024年6月28日 10時59分

姫路城周辺で観光を楽しむ外国人たち=兵庫県姫路市

世界遺産・姫路城(兵庫県姫路市)を管理する同市が、外国人観光客の入場料を約4倍に引き上げる案を検討している。値上げによる収益を城の補修費用に充てるほか、近年の外国人観光客の増加に伴うオーバーツーリズム(観光公害)への対策につなげる思惑もあるという。コロナ禍後、円安を追い風に訪日外国人客が急増する一方、国内各地の観光地ではさまざまな問題も起きている。海外では例もみられる二重価格の導入が実現すれば、他都市の観光政策にも影響を与えそうだ。

発端は今月16日の清元秀泰市長の発言。「姫路城には7ドルで入れるが、もっと値上げしようかと思っている。外国の人は30ドル払っていただいて、市民は5ドルぐらいにしたい」と述べた。

翌17日、清元市長は記者会見で「多くの人が(城に)のぼると天守閣が傷む。外国人観光客に負担を求めることは海外では常識」と説明。一方で「(城は)市民の憩いの場でもあり、市民への値上げは避けたい」とも話した。

現在、姫路城の入場料は18歳以上千円(小学生~高校生300円)。外国人観光客の入場料が30ドルになった場合、仮に1ドル160円とすると、4800円となる。一方、市民の料金が5ドルと設定された場合、800円に相当し、値下げされることになる。

国宝の姫路城は、平成5年に国内で初めて奈良の法隆寺とともに世界遺産に指定。白鷺(しらさぎ)に例えられる美しい真っ白な天守が特徴で、17世紀初頭の日本の城郭建築を代表する史跡建造物として高い評価を受けており、外国人客にも人気が高い。

市によると、令和5年度の入場者数は約148万人に上り、コロナ禍前の水準に回復。このうち外国人観光客は、外国語パンフレットの配布数から3割にあたる約45万人とみており、過去最多となった。

姫路城管理事務所の担当者は、外国人観光客の増加の理由について「円安が追い風になっている」と分析。「石造りの歴史的建造物の多い欧州などと違って、歴史のある巨大な木造建築物に魅力を感じているようだ」と話す。

米・カリフォルニア州から訪れた50代女性は「姫路城は美しかった。今の入場料はとても安い」と絶賛したが、「料金が4倍となるとさすがに高過ぎる」と表情を曇らせた。

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一方、姫路城近くの土産販売店「西の丸茶店」の佐野美八子(みやこ)店長は「店を訪れる外国人観光客はこちらが心配になるほど商品をたくさん購入する。お金持ちのお客ばかりだと思うので、客足はあまり減らないだろう」と冷静に受け止める。

姫路市によると、今のところ、外国人観光客の増加に伴う具体的なトラブルは起きていないが、「木造建築物なので観光客が増えると、振動などによる天守閣への影響がこれまで以上に懸念される」(担当者)といい、修繕など対策費の増加は避けられないという。

料金改定については「今後10年間の維持管理費や保存整備など必要な経費を見据えて設定したい」と説明。「関係する機関と十分な協議を行いながら進めていく」とする。

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観光問題に詳しい芸術文化観光専門職大の池田千恵子准教授は「修理に必要な資材の確保などを目指すのであれば、値上げによって財源が増えるのでメリットといえる」と指摘。一方で、入場者の3割に過ぎない外国人観光客のみ入場料を上げるには説明が必要だとし、値上げによる増収分は「多言語案内掲示板の設置など、外国人観光客のためのサービス向上に充てるべきだ」としている。(香西広豊 西浦健登)

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