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四季折々の絶景で人気を集めるJR只見線が紅葉の季節を迎えた 錦秋の山々、輝くススキ 味・旅・遊

産経ニュース / 2024年11月19日 8時0分

逆光に映えるススキ、赤や黄に彩られた山々-。会津若松駅(福島県会津若松市)と小出駅(新潟県魚沼市)を結ぶ全長135・2キロのJR只見線は、四季折々の絶景で人気を集めている。山あいを走るローカル線の沿線が、1年の中で特に彩りを増す紅葉の季節を迎えた。

只見線は平成23年夏の豪雨災害で橋が流されるなどして約11年、一部区間で運休が続いた。一昨年10月に全線で運転を再開してから今年が3度目の秋。新型コロナウイルスの影響もなくなり観光客も戻ってきた。

只見線と只見川に沿って延びる国道252号には、首都圏などから訪れた観光バスやマイカー、ツーリングを楽しむバイクなどが行き交う。外国人の団体を乗せたバスも少なくない。

吹き抜ける風は真冬

晴れた日の朝、福島県金山町の只見線沿線で撮影のため列車を待っていると、吹き抜ける風は真冬のような冷たさ。カメラを待つ手は凍え、指が思うように動かせなくなった。11月に入っても汗ばむような陽気だったのが噓のよう。秋を飛び越え一気に冬になったかのようだった。

只見線の楽しみ方は列車から景色を楽しんだり、沿線で列車を撮影したりさまざま。鉄橋に差し掛かった列車は、乗客が風景を満喫できるよう徐行する粋な計らいもある。撮影する鉄道ファンもシャッターチャンスが増え、〝一石二鳥〟のサービスになっている。

「今年は暑い日が続き、例年と比べて寒暖差が少ない印象。紅葉も1週間ほど遅かった」。撮影スポット「第一只見川橋梁(きょうりょう)」の登り口にある、道の駅「尾瀬街道みしま宿」の布川孝宏駅長は話す。山並みに目をやると、色づいた木々はコントラストに欠け、少しぼんやりした印象。それでも、赤や黄に染まった山々を背景に、ディーゼル列車がのんびり走る風景はたまらない。

沿線で三脚にカメラを据えて、列車を待っていた千葉市中央区の会社員、中村利明さんは、北海道から沖縄まで全国各地の絶景を撮り続けているアマチュアカメラマン。「只見線の撮影には毎年4~5回来ている」という中村さんも「今年の紅葉は例年より遅い感じ」という。

中村さんは主に風景を撮っているが「只見線は列車の川面に映る風景が魅力的で別格。こんな素晴らしい場所は国内にそうはない」と、夢中でシャッターを切っていた。

経営状況は苦しいが

多くのファンを持つ只見線だが経営状況は思わしくない。JR東日本は10月、昨年度の利用客が少なかった路線の経営情報を開示。その中に只見線の数字もあった。有名な撮影スポットが数多くある、会津坂下-会津川口間(39・2キロ)は8億6500万円の赤字で、100円の運輸収入を得るのに必要な費用を示す「営業係数」は2千765円だった。

それでも、只見線の風景がもたらす〝集客力〟は相当なもの。走り続けてもらうためにも繰り返し通いたい。沿線にはその価値が十分にある。(芹沢伸生)

JR只見線

福島県の会津若松駅へは東北新幹線・郡山駅からJR磐越西線で約1時間20分。新潟県の小出駅へは上越新幹線・浦佐駅からJR上越線で約10分。東京駅から郡山、浦佐両駅までの所要時間は、いずれも新幹線利用で1時間20分ほど。

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