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石畳の雄大な広場「グラン・プラス」にきらめく夕日 過去と現在が交錯する街ブリュッセル 芸術家フォロンの祖国㊤

産経ニュース / 2024年6月13日 14時0分

ブリュッセルの観光名所「小便小僧」。思ったよりも小さかった

日本から約9300キロ離れた欧州に位置するベルギー王国。北海道の約3分の1の国土ながら、首都ブリュッセルには欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)の本部が置かれる欧州の要衝(ようしょう)だ。そんなベルギー出身の世界的芸術家、ジャン=ミッシェル・フォロン(1934~2005年)の回顧展が来春、大阪で始まるのを前に同国を訪れ、過去と現在が交錯する街の魅力に触れた。

雨上がりの抜けるような青空に、中世の趣が感じられる白やクリーム色の建物が映える。ブリュッセル空港から車で約1時間、「欧州らしさ」を感じられるブリュッセル中心部の町並みに、長旅の疲れが吹き飛んだ。

「道路標識は、フランス語とオランダ語の2カ国語で表記されています」。同行してくれたベルギー王国ワロン地域政府貿易・外国投資振興庁日本代表のクレール・ギスレンさんが説明する。

フランス、オランダ、ドイツの3国に接するベルギーには母国語がなく、フランス語とオランダ語、ドイツ語が公用語として使用されている。主に使われる言語は地域によって異なり、ブリュッセルはフランス語とオランダ語の地域が混在しているためこうした表記になっている。

クレールさんはベルギーの南半分を占めるフランス語圏のワロン地域出身。母国語がないため「国民」という意識は希薄で、「人々は生まれ育った言語圏のアイデンティティーを持っている」と話す。

言語の違いは王室の公務にも影響するという。「国民に公平に接するため、話すときは相手の言語に合わせるんです」とクレールさん。日本人にはない感覚がとても興味深かった。

ベルギーはもともと、フランスやオランダの支配下にあり1830年に独立したが、大国と隣接することから「欧州の緩衝地帯」となってきた歴史がある。ブリュッセル中心部に向かう道すがら、車から見えたEU本部とはためく欧州旗が、何よりもその歴史を雄弁に物語っていた。

現地を訪れた4月半ばは午後8時を過ぎてもまだ明るい。ホテルに荷物を置いて、市街地の散策に向かった。

石畳の小路を歩くと多様な人種の人たちとすれ違う。白人や黒人、アジア人…。ブリュッセルの住民120万人のうち7割以上は外国人という。加えて世界中から観光客も訪れ、まさに欧州の交差点だ。

街中にはそうした観光客向けに観光名所「小便小僧」を模した色とりどりのチョコレートを取り扱う店もある。ベルギー名物同士のユニークなかけ合わせに笑ってしまった。

日が暮れるころ、世界遺産「グラン・プラス」にたどり着いた。フランス語で「大広間」の名前通り縦約110メートル、横約70メートルの石畳の広場は広大で、周囲には市庁舎や市立博物館など歴史的建造物が立ち並ぶ。

夕日が広場を行き交う観光客を照らし、建物の装飾が黄金色にきらめく-。そんな美しい光景に、この地で過ごす数日間がとても楽しみになった。

来年4月に「フォロン展」作品来日は30年ぶり

ベルギー出身の世界的芸術家、ジャン=ミッシェル・フォロンの没後20年を記念した回顧展「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」(産経新聞など主催)が来年4月、あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区)で開催され、絵画や彫刻、ポスターなど約230点が展示される。

フォロンはベルギーを代表する芸術家の一人。米誌タイムなどの表紙絵を手掛けたほか、人権や環境問題をテーマにした水彩画などを数多く残した。

日本での展覧会は約30年ぶり。同展はまず今年7~9月、東京で開催される。大阪の会期は来年4月5日~6月22日。問い合わせはあべのハルカス美術館(06・4399・9050)。

■ブリュッセル ベルギー王国の首都。日本からブリュッセル空港までは直行便で13時間あまり。市街地には「小便小僧」をはじめ世界一美しい広場といわれる世界遺産「グラン・プラス」などの観光名所がある。王立美術館やベルギー出身の画家、ルネ・マグリットの作品を多数収蔵するマグリット美術館などの芸術施設も多い。(小川恵理子)

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