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福島産シイタケは肉厚で香り豊か 菌床にも「旬」の季節がやってきた

産経ニュース / 2024年10月6日 9時0分

ホイル焼きでうまみと風味を閉じ込める(榊聡美撮影)

秋の味覚を代表するきのこ。人工栽培の技術が進み、今では一年中、身近にある。中でも、シイタケは9割以上を菌床栽培が占める。どのように育てられるのか-。福島県にある栽培拠点へ足を運んだ。

福島県の中央に位置する郡山市。地元の生産者を技術面でサポートするため、平成30年に設立された「菌床しいたけイノベーションセンター」では、菌床の製造から栽培・収穫までを一貫して行っている。

徹底した温度管理でじっくり育てる

菌床の原料はブナやナラなどの広葉樹を粉砕したチップや、おが粉。それに水と、ふすま(小麦の表皮)を主とした栄養のもとを加え、四角いブロック状に固める。そこに種菌を植え付けて、温度と湿度を管理しながら栽培する。

「最短だと90~100日でシイタケが生えてくるんですよ」

全国農業協同組合連合会福島県本部(JA全農福島)園芸部で同センターを担当している会田友則さん(33)が、「発生室」を案内してくれた。

温度が15度に保たれて、ひんやりとした室内は、シイタケ特有のいい香りに包まれている。棚に整然と並んだブロックの表面からは、ポコポコと大小のシイタケが頭を出している。軸が太く、しっかりとしたものが目立つ。

「軸が太いほうが、かさに厚みがあって大きくなりやすいんです。コントロールするのは難しいですが、室温を低めにしてじっくりと成長させるようにしています」と会田さん。かさが直径4~5センチの大きさになったものから一つずつ収穫する。1つの菌床で700~800グラム、うまく育てれば1キロ以上も取れるとか。

本来、シイタケの旬は春と秋。会田さんは「菌床にも『旬の出方』はあります。夏場は出にくかったり、品質が伴わなかったりすることも。やはり、春と秋は少し違います」。

表示基準改正で原産地分かりやすく

シイタケは20年ほど前、中国産野菜から基準値を超える残留農薬が検出されたのを機に、国産の需要が高まった。しかしその後、中国で製造された菌床の輸入が急増。表示される原産地は「収穫した場所」のため、輸入菌床でも日本で育て収穫したものは「国産」として出荷されていた。

令和4年、消費者庁の食品表示基準が改正され、菌を植え付けた場所(植菌地)を原産地として表示することが義務付けられた。パッケージを見れば、輸入菌床のシイタケか、国内で植菌・収穫されたものかが分かるようになった。

「もともと、きのこは全般に無農薬で栽培されるもの。加えて、徹底した放射性物質検査が続けられている福島のシイタケは一番安全な食べ物といえるのではないでしょうか」(会田さん)

おいしさ逃さない焼き方のコツ

シイタケは加熱することでうまみ成分が増す。とはいえ、焼き肉やバーベキューで「焼いたらパサついてしまった」経験がある人も多いのでは? 同市内にある人気焼き肉店「牛豊 朝日店」の遠藤真人料理長(51)に、焼き方のコツを教えてもらった。

まず、焼く前にシイタケをお酒にくぐらせる。かさの内側をさっと焼いてから裏返し、じっくりと火を通す。「ひだの部分に出てくる、うまみたっぷりの〝汁〟を逃さずに食べるのがポイント」と遠藤料理長。

シイタケにお酒をひとふりしてバターをのせ、ホイル焼きにするのもおすすめ。うまみも風味も閉じ込めて加熱すると、格別なおいしさが楽しめる。(榊聡美)

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