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12歳の少女が見た昭和51年 団塊の世代と五つ子ちゃん「日本の人口増えるといいな」 プレイバック「昭和100年」

産経ニュース / 2024年11月10日 8時50分

「およげ!たいやきくん」のレコード売り上げが370万枚を突破し、トロフィーを掲げる歌手の子門真人=昭和51年2月

<当時の出来事や世相を「12歳の子供」の目線で振り返ります。ぜひ、ご家族、ご友人、幼なじみの方と共有してください。>

「団塊の世代」という言葉がはやっているようだ。作家の堺屋太一さんの小説のタイトルで昭和22年から24年生まれにあたり、今20代後半くらいの人を指す。私と同じ昭和39年の東京五輪の年に生まれた人は全国に170万人ぐらいというが、戦争が終わった後にベビーブームで生まれた団塊世代は各学年260万人くらいで全体で800万人以上もいるらしい。

私のお父さんより10歳ちょっと下になるが、お父さんは「今どきの若いもんは戦争の苦労を知らん」とか言って、彼らが好きではないようだ。ただ、本人も戦時中はまだ子供で、戦争に行ったわけではないのであまり知らないと思う。それよりも会社にいる団塊の人たちが学生運動をやっていた人が多いみたいで、理屈っぽいことを言うのが生意気に感じるみたい。

この年の大きなニュースといえば前の田中角栄首相が逮捕されたことだ。以前から悪い話がいろいろと報道されていたけど、総理大臣までやった人が逮捕されてテレビや新聞は大騒ぎだった。ロッキードというアメリカの会社から5億円を受け取ったということだが、話が複雑過ぎて私にはよくわからない。「黒いピーナッツ」とか「記憶にございません」とかは面白くて好きだが。

ちょっと前まで父も母も、「今太閤」「庶民宰相」とか言ってほめていたのに、今はニュースを見ながら極悪人のように言っているのは、ずるい気もする。ただ、この年末にあった衆議院選挙で角栄さんがトップ当選で圧勝したのは、ちょっと甘すぎるようにも思う。

1月に鹿児島で日本初の五つ子ちゃんが誕生して、かわいらしい姿が何度もテレビで放送されたが、何といっても今年一番の流行は「およげ!たいやきくん」だろう。私はテレビ番組の「ひらけ!ポンキッキ」で流れていたころから大好きな曲で、いつかレコードになったらいいな、と思っていたら本当にレコードになって、あっという間に大ヒットした。私がブームを作ったみたいでうれしかった。あんこの入った本物のたい焼きも大人気で、家の近くのスーパーの前にはいつも行列ができていた。

6月にはプロレスのアントニオ猪木選手とボクシングのモハメド・アリ選手が日本武道館で異種格闘技という試合をやって、男子はその話題で持ちきりだった。私もテレビで見たが、猪木選手が寝転がってばかりで何が面白いのか少しもわからなかった。私は格闘技よりも7月のモントリオール五輪で見たコマネチ選手の体操のような競技のほうが好きだ。

この年は、戦後生まれの人が初めて日本の人口の半数を超えたらしい。戦争を知らない人が半分以上になったということだ。テレビCMの「みーんな悩んで大きくなった」の野坂昭如さんや私のお父さんのような「昭和ヒトケタ生まれ」が今は社会を担っているように見えるが、すぐに団塊世代が中心になるのだろう。

1クラスの人数が50人以上もいたというこの人たちは競争も激しい世代だったらしい。この人たちの子供の世代も増えており、私の頃より赤ちゃんの数はだいぶ多いようだ。

戦争を知る世代が減っていくのはさびしいが、新しい世代がどんどん増えているのは頼もしい。五つ子ちゃんも生まれたことだし、日本の人口はこれからもどんどん増えていくのかな。

※この年、戦後生まれが5700万人となり、総人口の半数を超えた。団塊世代の子供にあたる昭和40年代後半の出生数は200万人前後だったが、平成28年に100万人を割り、現在は70万人台となった。団塊世代は今年、全員が後期高齢者(75歳以上)となる。

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