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鉄道ファンから海外の観光客まで集う人気の撮影スポット 幻想的なJR只見線の夏  味・旅・遊

産経ニュース / 2024年7月21日 9時0分

山あいの鉄橋に一番列車が差し掛かると、静まり返る川面に車両が映り込んだ。真夏の太陽はまだ低く強い日差しは届かない。「ダダン、ダダン…」。川霧が漂う水墨画のような風景に通過音が響く。午前6時過ぎの福島県奥会津地方は、幻想的な雰囲気に包まれていた。

JR只見線は、会津若松駅(福島県会津若松市)と小出駅(新潟県魚沼市)を結ぶ全長135・2キロのローカル線。只見川を縫うように山あいを走る風光明媚(めいび)な〝秘境路線〟には、台湾やタイなどからもファンが詰めかける。

水温低く温度差

四季折々の絶景が楽しめる沿線の〝夏の主役〟は「川霧」。只見川は雪解け水の影響で水温が低く、川の周囲の空気と温度差が大きくなるため、川霧が発生しやすいとされる。特に6~8月の朝や夕方、雨天のときなどは、高い確率で遭遇できるという。

人気の撮影スポット、会津桧原駅-会津西方駅間にある「第一只見川橋梁(きょうりょう)」(福島県三島町)は、早朝から鉄道ファンや絶景を一目見ようと集まった観光客たちでにぎわっていた。3カ所ある展望台では、20人近くが三脚を立てるなどして、列車を待っていた。

埼玉県所沢市の70代男性は昨年、妻と一緒に只見線全線を旅して車窓の風景を楽しんだ。「今回は沿線の風景を見たくて車で来た」(男性)といい、人気のスポットに近い道の駅で車中泊。朝一番で幻想的な風景の中を行く列車を夫婦で見守った。「こんな時間でも写真を撮っている人たちが結構いた」と男性は驚いた様子。男性は「周囲が真っ暗で昨夜の星空も見事だった」と車の旅を満喫していた。

復活した渡し舟

一方、只見線沿線で夏の観光スポットとして近年、脚光を浴びているのが「夢幻峡の渡し」。早戸駅の目前に広がる、福島県金山町と三島町の境にある只見川の渓谷は、夏場の川霧が幻想的なことで知られていた。しかし、対岸にあった金山町の三更(みふけ)集落が50年ほど前に廃村になったため、渡し舟も姿を消していた。

これが平成22年に復活。翌年の豪雨被害で運休を余儀なくされたが、29年に再度、運航を始めた。早戸駅に近い船着場から、昔と同じ手漕ぎの舟で霧に包まれた川面に出ると、まるで夢の世界。不思議な光景の評判は交流サイト(SNS)などで世界に広がり、近年は外国人観光客も増えている。

(芹沢伸生)

JR只見線 福島県の会津若松駅へは東北新幹線・郡山駅からJR磐越西線で約1時間20分、新潟県の小出駅へは上越新幹線・浦佐駅からJR上越線で約10分。東京駅から郡山、浦佐両駅までの所用時間は、いずれも新幹線利用で1時間20分ほど。

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