「子供たちの旗印に」アルバモス大阪、9月開幕のハンド新リーグ参入 41年ぶり関西勢
産経ニュース / 2024年8月30日 11時28分
パリ五輪で5戦全敗に終わったハンドボール男子。実力の底上げが求められる中、昭和51年発足の日本ハンドボールリーグ(JHL)から衣替えした「リーグH」が9月に開幕する。新チーム「アルバモス大阪」(大阪市)は関西勢として41年ぶりにトップリーグに参入した。競技人口の拡大や代表強化に向け、選手だけでなくリーグ関係者も開幕を待ちわびている。
「歴史作りたい」と東京五輪代表
「中に入ったら声かけろよ!」。7月下旬、兵庫県西宮市の関西学院大の体育館。フルコートの練習中、大粒の汗を光らせながら巧みなステップで切り込み、ひときわ存在感を示すアルバモスの選手がいた。
2021年東京五輪代表の徳田廉之介(れんのすけ)(26)。筑波大在学中から強豪国ポーランドやドイツのリーグを経験した徳田にとって、国内でのプレーは初めて。「新しいリーグで、まっさらなチームが強くなったら面白い。歴史を作りたい」と意気込む。
競技人口、中高生が増加
JHLではリーグ発足7年後の昭和58年に社会人チーム「大阪イーグルス」が撤退して以降、関西から参加する男子チームはなかった。リーグHへの移行を機に、ハンドボール経験がある地元有志が新チーム創設に奔走し、「空白期」にピリオドを打った。
ハンドボールは「投・跳・走」の3要素による「空中の格闘技」とも称される。アルバモスの錦見綾ゼネラルマネジャーは「激しい競技ならではのダイナミズムを伝えるのはもちろん、ハンドボールをやっている子供たちの旗印になれるようなチームにしたい」と力を込める。
国内の競技人口は約9万5千人。日本ハンドボール協会によると、うち75%が中高生で増加傾向にあるという。JHLの中村和哉理事長は「少子化も影響し、スポーツをする子供たちの争奪戦が起きている。ハンドボールも改革が必要だった」と明かす。
「地域密着」掲げ
他の球技がリーグを刷新し活況を呈する中、後発のリーグHは競技人口拡大と実力の底上げに向け、地域密着を掲げる。
チーム名にホームタウンの地域を入れることを条件とし、次世代育成のため小学生チームの保有や提携活動を義務付けた。3年目のシーズンから11人以上の選手とプロ契約を結び、段階的にプロ選手の数を増やす。
リーグHは男子が9月6日に、女子が翌7日に開幕する。中村氏は「ハンドボールの知名度は低い」と認めた上で「それでも、一度観戦してもらえれば面白さが伝わる。子供を中心に多くの人に生で試合をみてもらえるよう露出を増やしたい」と張り切っている。(五十嵐一)
リーグH 昭和51年に発足したハンドボールの日本リーグを前身とする新リーグ。男子14チーム、女子11チームでクラブチームや企業チームで構成される。来年5月までに男子は2回戦、女子は3回戦の総当たりリーグ戦を行い、6月に上位チームによるプレーオフで初代日本一を決める。独立法人化や地域別で戦うカンファレンス制の導入を目指す。
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