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はるかなり秘境駅⑪ 飯田のアレは進んでいた 帰ってきた令和阿房列車で行こう 第一列車 

産経ニュース / 2024年6月12日 10時0分

天竜川をわたる橋脚も姿を現した

午後3時半、定刻通り臨時急行「飯田線秘境駅号」は、終着飯田駅に滑り込んだ。

豊橋を出発してから5時間40分。特急で約2時間半、各駅停車でも4時間かからないのだから酔狂な話ではある。

しかし、6時間足らずで飯田線内にある数々の秘境駅に降り立つことができ、沿線住民から歓待されるのだから愛好家でなくとも十分楽しめる。

ただ、乗務員も含め200人近い集団が一度にホームに降り立つのだから、普段はほとんど乗降客のいない「秘境駅」の真の姿とは程遠い。

「それでいいんです」

と、サンケイ2号君はしみじみと言う。得てして愛好家は「秘境駅が賑(にぎ)わう」のを嫌いがちだが、ファンの裾野が広がれば、ローカル線維持へ応援団が増える。2号君の視野は広い。

さて、はるばる飯田まで来たからには、アレを見なければ。

アレとは、もちろんリニア中央新幹線の工事現場である。

品川と名古屋を結ぶリニア中央新幹線は、長いトンネルを抜けて飯田市付近で地上に姿を現し、飯田線・元善光寺駅付近に地上駅が設置される。

われわれが飯田を訪れた5月某日には、あの県の前知事のおかげでJR東海は目標としていた令和9年開業を正式に断念していたが、それはそれ。

さっそく駅前からタクシーに乗り込み、駅舎予定地へ。

場所は飯田駅から3駅北上した元善光寺駅の手前で、週末とあって整地作業はお休み。住宅はすっかりなくなっていたが、玄関にいざなう階段だけが残っている場所もあり、生々しい。あの前知事のおかげで、開通は早くとも10年後というから自宅を断腸の思いで手放した飯田の人々の思いは、いかばかりか。

続いて基礎工事が始まっている全長500メートルを超す天竜川橋梁(きょうりょう)の建設現場に。

「いやあ、思ったより進んでますね」

リニアにも詳しい2号君が、感に堪えない声をあげる。コンクリート橋脚が、姿を見せ始めていたのだ。さて、我々は天竜川を猛スピードで突っ切るリニアの雄姿を拝めるだろうか。

「もちろん、見られますよ」と2号君は胸をたたくが、還暦過ぎ記者のカラータイマーは、もう鳴っている。

午後4時15分、飯田駅に戻った。ここで2号君とはお別れ。

彼が東海地方にある我が家に帰ろうとすると、豊橋行きは2時間後しかなく、家に着くのは真夜中だ。やむなく高速バスで名古屋まで出て、東海道新幹線に乗り換えるという。

さらば2号君、また逢(あ)う日まで。当方もバスに乗れば、午後9時前には新宿に着けるのだが、午後4時45分発岡谷行きに乗って飯田線を完乗しよう。続きは明日のこころだぁ!

(乾正人)

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