下山、三鷹事件 主張すべきは主張すべし、テロは卑怯である 昭和24年「時事小観」 プレイバック「昭和100年」
産経ニュース / 2024年11月3日 8時50分
頻々たる全国的列車妨害に、誰しも心配したのは、大きな事件を起さねばよいが、ということでもあった。そこへ今度の三鷹事件である。古い用語でいえば、「突如」ではあるが、幾分「果然」でもあった。
▼真相は、下山事件と同じくまだ不明であるけれども、パンタグラフを下げ、ブレーキをかけ、スイッチを切っておいた入庫車(運転士の言明)が、猛スピードで動き出すことはない。金庫がひとりで開かないと同様だ。石炭の自然発火があっても、電車の自然発車はあり得ない。
▼国有というからには、国の有、つまり主権在民の国民のものであるはずだ。ところが国鉄というと、何やら国民から遊離した別個の存在のような観を呈している。これが国鉄の威力だなどと誤解してはいけない。往年の軍、ことに関東軍は独立勢力のような顔をしていて、ついに自からのみならず国をも今日あらしめた。それとこれとは違うし、また違わねばならないが、嘗つての青年将校のようにヤタラに強がる一派がハバをきかす形は相似的である。そこでテロ辞せずという声も不幸にして正論に扱われることもある。このような分子は大てい少数なのだが、「軟論を主張する勇者」が少なく、あっても押され勝ちになる。穏健派が反動の名を附せられるのを嫌って沈黙する場合もあろう。
▼だが、かりそめにも国有鉄道が国民の怨府になるような変態は忍びがたい。現に「お宅は駅が遠くて結構ですね」といったような皮肉か何かわからぬ会話さえ聞かれている。主張すべきはあくまで主張すべし、テロは卑きょうである。とにかく今度の両事件を以て最終の悪事故としたいものだ。
(昭和24年7月17日)
※当時、産経抄は「時事小観」と呼ばれていました。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
12歳の少年が見た昭和24年 片足失ったシベリア帰りのおじさんとアプレゲールの東大生 プレイバック「昭和100年」
産経ニュース / 2024年11月3日 8時50分
-
トクリュウの取り締まり推進=坂井国家公安委員長
時事通信 / 2024年10月31日 18時44分
-
日本の解き方 実は2年だけだった郵政民営化 民主党政権で変貌、実質「再国有化」の真実 描かれた「第二の国鉄」再び経営不安に見舞われるか
zakzak by夕刊フジ / 2024年10月23日 6時30分
-
かつてライダーハウスとして活用されていた客車の今。北海道の『振内鉄道記念館』を訪ねた
バイクのニュース / 2024年10月14日 15時10分
-
パキスタンの空港近くで「中国人狙い」の爆破テロ──反政府武装勢力が犯行声明
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月8日 19時23分
ランキング
-
1一人暮らしの高齢者が増加!これだけは備えたい3つの費用とは
オールアバウト / 2024年11月4日 18時30分
-
2「外国人が店と間違えて家に…」 迷惑行為に京都市民憤り 観光地に「おすすめ」6割未満
産経ニュース / 2024年11月4日 16時30分
-
3「評価されるのは上司のお気に入り」会社の人事評価に7割が不満→2割が転職、転職検討組は半数
まいどなニュース / 2024年11月4日 19時30分
-
4【おうちで餃子を楽しもう】老舗の「幸楽苑」!お得にテイクアウトする方法とは
イエモネ / 2024年11月4日 20時0分
-
5老後の備え、できてますか?8割が「大きな不安」 貯蓄額100万円以下が4割、「0円」は5%
まいどなニュース / 2024年11月4日 20時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください