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米寿のユーザー「社会とつながる」 シニアもスマホを使ってみよう 100歳時代の歩き方

産経ニュース / 2024年9月8日 9時0分

今やインフラといっても過言ではないスマートフォン。通話やメールをはじめインターネットやSNS、買い物、金融などさまざまな機能を持ち、生活に欠かせないツールだ。しかし、シニアの中には「使いこなすのは難しい」と思っている人も少なくない。米寿のスマホユーザーは「失われていく社会とのつながりを得るためにはうまく使うべきだ」と話している。(小川記代子)

スマホを手に、入っているアプリを説明してくれるのは、横浜市保土ケ谷区に住む牧壮(まき・たけし)さん(88)。スマホが登場した直後から使っている。スマホには交通系や普段使うスーパー、キャッシュレス決済まで多種多様のアプリが入っていた。「スマホがなかったら困る。今、災害があったらスマホを持って逃げます。情報源ですから」と言う。

牧さんは旭化成で新規開発に携わり、退職後は高齢者のインターネット活用を支援する活動などを行い、デジタル庁のデジタル推進委員アンバサダーに任命された。ただ、周囲の高齢者にはスマホに抵抗感を示す人もいるという。

内閣府の「情報通信機器の利活用に関する世論調査」(令和5年)によると、スマホやタブレットを「よく利用している」「ときどき利用している」人の割合は、18~29歳は99.3%、50代でも95.7%なのに対し、60代は84.2%、70歳以上は48.5%と一気に低下する。

70歳以上で利用していない理由(複数回答)は「どのように使えばよいかわからないから」「必要があれば家族に任せればよいと思っているから」「自分の生活には必要ないと思っているから」「情報漏洩や詐欺被害などのトラブルに遭うのではないかと不安だから」などだった。

牧さんは「高齢者の不安は分かります。高齢になって出てきたツールに抵抗があるのは当然だし、トラブルも怖い」と推測する。

「ただ、スマホがないと暮らせない時代です。それに年を取ると不便なことは多くなるし、考える範囲も狭まり、社会とのつながりもなくなる。スマホはそれらを補って新しい情報や視点を得るのに役立ちます」

無理にやることはない、トラブルを避けるためには「やってはいけないこと」を信頼できる人に教えてもらう、甘い誘い言葉に乗らない-。「基本を守れば抵抗感は薄れます」と牧さんは話している。

便利さ体感する機会を

日本総合研究所創発戦略センターの山内杏里彩さんの話 新型コロナウイルスのワクチン接種のとき、スマホを持たない祖母の代わりに20代の私がスマホで予約した。同じく祖母が国際郵便で荷物を発送しようとしたら、オンラインで送り状を作成する必要が生じ、母が代わりに作成したこともある。

普通に暮らしている高齢者でも、スマホの利用が必要になる場面が多くなっている。内閣府の世論調査でも「生活に必要がないから利用しない」という70歳以上が令和2年に比べて減っているのは、ここまで世の中に浸透すると、いやでも必要になり、心の中では困っている人が増えているという印象だ。

一方で、「どのように使えばよいかわからないから利用しない」は増えている。家族に使い方を聞く人が多いと思うが、今後は独居や、近くには家族がいないケースも増える。そういう場合は近くのコミュニティーで詳しい人に相談するのも一つの方法だ。

東京都では、都や市区町村などが実施する相談会や体験会に講習を受けたサポーターが派遣され、高齢者がスマホに関する相談をすることができる。

スマホは離れた場所に行かねばならなかった手続きができたり、歩行が困難になっても遠くに住む友人とチャットができたりする。

中にはスマホに対してネガティブな印象を持つ方もおり、利用へのハードルが高いのかもしれない。さまざまな機会を通じて、便利さや意外に使いやすいことが伝えられれば、少しはハードルを下げることにつながり、楽しさを共有できるのではないか。

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