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手すりひとつでルンルン…楽しく階段を上り下り、足腰を鍛えてシアワセに 家族がいてもいなくても 久田恵 (810)

産経ニュース / 2024年7月30日 9時0分

イラスト・ヨツモトユキ

私の東京の元実家は、リフォームをした2世帯住宅。

それで、玄関が2カ所にある。しかも、リフォームをした方の玄関のドアを開くと、そこにすぐ、急な階段があるのだ。

その階段をいっきに上っていったところの2階のスペースが、目下、私の住まいになっている。階下の方は、放置状態。できるだけ見ないようにしている。いずれ誰かが片づけるでしょうと、もう次世代まかせの気分。

たぶん、時々、私の様子を見にやってくる息子とその一族の誰かが、なんとかするだろうなあ、と。

ともかく、今は、できることだけをやりましょう、それ以外は余計なことは何もしません、と思っている私。

けれど、先日、ふと、思いついてしまった。自分の部屋へと上っていく階段に手すりをつけようと。

実は私は毎晩、近くの高齢者ホームに夕ご飯を食べに行っているので、さっそく、そこのオーナーに業者さんを紹介してもらった。

おかげで、おしゃれで、すてきで、使い勝手の良い立派な手すりがついた。

階段を上がるときと、上り終えたときには、ちゃんと縦の手すりが別につけられていて、なんとも使い心地がよい。

その手すりが、すっかり気に入った私は、楽しく階段を上り下り、行ったり来たりしている。足腰を鍛えたりもできる。

そんなわけで、手すりひとつで、こんなに人はシアワセな思いになるのだなあ、と思った次第。

老いてくると、できないことが増えてくる。けれど、その分、些細(ささい)なことと思っていたり、気付かないでいたりしたことに感動させられる。

そんなわけで、目下、階段の手すりに惹きつけられている私だ。(ノンフィクション作家 久田恵)

ひさだ・めぐみ

昭和22年、北海道室蘭市生まれ。平成2年、『フィリッピーナを愛した男たち』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。介護、子育てなど経験に根ざしたルポに定評がある。著書に『ここが終の住処かもね』『主婦悦子さんの予期せぬ日々』など。

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