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交通弱者も楽しめる万博 施設でオンライン配信 関西イノベーションセンター 村上弘祐氏 万博未来考 第3部 番外編

産経ニュース / 2024年11月17日 7時0分

高齢や障害のため2025年大阪・関西万博に行きたくても行けない人にも万博を楽しんでもらおうと、会期中に実施するパビリオンなどのオンラインツアーの準備を進めている。社会の高齢化などは世界共通の課題であり、「福祉国家」といわれる日本から発信する先進的な取り組みとしてアピールしたい。

「LET’S EXPO(レッツエキスポ)」と題したプロジェクトで、私が所属する三菱UFJ銀行系の新興企業支援組織「関西イノベーションセンター」と、オンライン観光の東京トラベルパートナーズ(東京)、住友電気工業が推進している。

特に高齢世代は、成功だったといわれる1970年大阪万博の会場を訪れた経験があったり、当時のことをよく覚えていたりして、「25年万博に行ってみたい」という人が多い。ただ、身体や健康の問題などで難しいケースは少なくなく、そうした人たちのためレッツエキスポのサポートを用意しようとしている。

プロジェクトでは、万博期間中、インターネットに接続した福祉施設などのテレビやパソコンで、パビリオンなどの番組を配信する。原則として生中継での配信とし、視聴者からの質問や要望に現地のスタッフが答えながら進行する双方向でのコミュニケーションが可能な点が特長だ。

会期のパビリオン営業時間に施設内で中継することが難しい場合もあるが、事前に撮影した施設内や建設中の様子の映像を組み合わせ、万博に関するクイズなどとともに楽しんでもらおうとしている。万博が開催される半年間で延べ35万人の利用を目標としている。視聴者が「実際に会場に行ってみたい」と思った際、来場のハードルを下げるため、ボランティアによる車いすの介助も計画している。

このプロジェクトは令和2年11月、新型コロナウイルス禍で旅行に行けない人向けに観光の楽しみを届ける目的でスタートし、当初は関西イノベーションセンターが単独で実施しようとしていた。

だが、私たちの持っていたノウハウでは十分ではないことから、高齢者施設などでオンラインツアーを展開していた東京トラベルパートナーズ、デジタル放送関連製品を開発していた住友電工と連携することになった。万博という共通の目標があるからこそ実現したプロジェクトだ。

高齢者や障害者だけでなく、あらゆる交通弱者のニーズに応えることができるのではないか。万博ではサービスを無料で提供するが、ビジネスとしての可能性も大いにある。プロジェクトが万博後のレガシー(遺産)となることを期待している。(聞き手 井上浩平)

むらかみ・こうすけ 甲南大経営学部卒業後、三菱UFJ銀行に入行し、法人営業を担当。令和4年10月から関西イノベーションセンターに出向、シニアマネジャーとして大阪・関西万博に向けた観光やインバウンド(訪日客)関連のプロジェクトを担当している。大阪府出身。33歳。

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