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第77回「都民の消防官」受章者5氏が決定 11月27日に表彰式

産経ニュース / 2024年9月30日 21時42分

「第77回都民の消防官」予防業務功労の鈴木佳子・消防司令(練馬消防署)

東京都民の生命を守るため、日夜職務に精励する東京消防庁の消防官約1万8000人の中から、特に功績が認められた消防官に贈られる第77回「都民の消防官」(主催・産経新聞社、後援・フジサンケイグループ)の受章者に5氏が決まった。東京消防庁が10人を推薦し、選考委員会が各候補者の人柄や実績を踏まえて書類選考した。表彰式は11月27日に千代田区大手町の大手町サンケイプラザで開かれる。

日本堤署消防司令補・村上透さん(60)

昭和58年の入庁以来、火災から震災、水難救助などさまざまな災害現場の第一線で活動してきた。努力を惜しまず、協調性のある性格は周囲からも絶大な信頼を寄せられている。

江戸川署にいた平成6年、同区のゴム製造工場から出火し、周囲の住宅など約2千平方メートルを焼損する火災があり、江戸川特別救助隊機関員として活動。近くの住宅2階で逃げ遅れた女性を発見し、背負って救出して人命救助につなげた。

臨港署にいた29年、男性が橋から東京湾に飛び降りた事案では、複数の部隊の指揮を担当。多数の情報から活動方針を立て、長時間で広範囲にわたる捜索救助活動を効果的に行い、男性の救助に導いた。

現在は、約3500件の豊富な現場経験や技術を後進に伝える役割も担い、組織力の向上に全力を注いでいる。

受章について「先輩、上司、同僚、家族に支えてもらったおかげ。感謝している」としたうえで、「経験や知識を後輩に伝え、育成をしていきたい」と気持ちを新たにしていた。

城東署消防司令補・菅原浩さん(57)

平成4年の入庁後、20年以上にわたり、都民の命を守るべく、救命救急業務に従事。増加し続ける救急需要や変化する活動基準の改正に対応するため、知識と技術の両面で研鑽(けんさん)に励んできた。これまでの「出場」は2万3千件にのぼる。

23年7月、世田谷区のコンビニエンスストア店内で高齢の男性が意識を失って倒れた際には、現場に駆け付け、迅速に点滴や気道確保などの処置を行った。

その後回復した男性が感謝を伝えに来署。出場中だったことで面会はかなわなかったが、「人を助けるためにこの仕事をしている。とても励みになった」という。この功労を含め、救急部長賞を4度にわたり受賞した。

部下職員に向けては、「攻めの救急活動」をモットーに、時には厳しく情熱のある指導を行っている。それは、救えるはずの命を救えなかった若き日の辛い経験を、部下にはさせまいという信念からだ。

今回の受章の知らせには「大変ありがたい。恐縮しています」と話し、「今後も、引き続き淡々と頑張っていきたい」と力強く語った。

練馬署消防司令・鈴木佳子さん(56)

平成元年に採用されて以来、35年以上にわたり、「予防業務」に従事。防火対策の指導や建築物の設備調査など、火災を未然に防ぐための努力を続け、都民の命と財産を守ってきた。

平成29年には小石川署管内にある事業所の防火管理体制を把握すべく、各事業所を訪問。形態に合った防火対策を分析・助言し、防火管理者の早期選任や消防訓練の実施促進などにつなげたことから、火災予防業務実績優秀係予防部長賞を受賞した。

消防機関の技術発展にも大きく貢献している。令和5年の予防技術研究会では、自衛組織による消防訓練の事前通報にDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する施策に関する研究が高く評価され、予防部長賞の受賞につなげた。

温厚な性格で、周りの信頼も厚い。長年培った経験や知識を積極的に若い世代に受け継いでいる。

受章には「良い先輩と後輩に巡り合い、支えられて今までやってこられた。感謝を伝えたい」とし、「身を引き締めて、今後も頑張りたい」と語った。

赤羽署消防士長・迫田悦也さん(51)

平成12年に入庁。はしご車やポンプ車の「機関員」として、約20年間技術を高めてきた。現在は赤羽署のはしご機関員として、災害現場での救出活動の一翼を担う。

向島署の消防副士長を務めていた18年、墨田区で発生した火災に臨場。激しい火勢に立ち向かって早期放水を行い延焼拡大防止に努めたとして、方面本部長賞を受賞した。

23年3月、東日本大震災で被害を受けた福島県本宮市に派遣出向。支援物資が不足する中、補給隊機関員として昼夜問わず物資の調達、配布業務に従事し、救急隊の活動支援に奔走した。人命を最優先に動く姿は周囲から高く評価されてきた。

普段は多くを語らず控えめだが、現場ではその背中で機関員のあるべき姿を示し、約3300件の「出場」で得た豊富な経験を後進育成にも遺憾なく発揮。後輩から厚い信頼を得ている。

「この年齢で受章できるとは思わなかった」と驚きつつも、「普段の生活から他の模範にならないといけない」と決意を新たにした。

臨港署消防司令補・中川博至さん(53)

20年以上、水難救助や消防艇操作の技術を駆使して東京の安全を守ってきた。水難救助の隊員として700件以上の現場経験だけでなく、リーダーシップや、後輩への技術指導への評価も高い。

水中での救出活動は1秒を争う時間との勝負。生きて救出するために訓練を長年重ねてきた。平成11年に中央区で乗用車が海中に転落した水難救助。反転した車両の半分が水底の汚泥に沈む状況だったが、車両発見からわずか6分で女性を救出し、消防総監賞を受賞した。

4年務めた水難救助隊長では、「持てる武器を磨く」という信念のもと長所を伸ばし、短所は仲間との協力で補うことでチーム力強化に努めた。

舟艇技術の高さから、隊長を退いた後、消防艇や大型救助艇の船長を歴任。現在は、東京消防庁で最も大きい化学消防艇「みやこどり」の船長を務める。

受章を受けて、「これまで関わってくれた皆さんのおかげです」と感謝を口にし、「今後は後輩の職員に自分が教わったことを伝えていきたい」と話した。

■「都民の消防官」協賛団体 三菱地所、東京ガス、サンケイビル、富国生命保険、東京都消防懇話会、東京連合防火協会、東京防災救急協会

■選考委員 委員長=吉田淳一・三菱地所取締役会長▽委員長代行=安達晋・三菱地所丸の内運営事業部長▽委員=小和田祐子・東京ガス執行役員広報部長、野内裕之・サンケイビルビル営業部長、石和田照幸・富国生命保険業務部長、安田正信・東京都消防懇話会事務局長、水野寿・東京連合防火協会専務理事、湯浅達也・東京防災救急協会事務局長、佐々木美恵・産経新聞社メディアビジネス局長、酒井潤・産経新聞社社会部長

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