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「新聞は大事」だとアピールしてきたか なぜ売れない? はっきりいえば面白くないから 話の肖像画 ジャーナリスト・田原総一朗<3>

産経ニュース / 2024年10月3日 10時0分

シンポジウムのパネリストとして熱弁=平成13年

《新聞は、読売、朝日、毎日、産経、東京の一般紙から、経済紙の日経、さらに、しんぶん赤旗(日本共産党の機関紙)、創価学会発行の聖教新聞まで…。定期購読をして毎日、目を通す。著書によれば、中でも、わが産経新聞には目をかけてくれているらしい》

産経新聞は面白いですよ。だって朝日新聞のことをコテンパンに批判してきたでしょ。こんなこと他の新聞はやらない。一方の朝日は、といえば、産経批判はやりません。「なぜやらないのか?」と親しかった筑紫哲也(ちくしてつや)さん(※1935~2008年、朝日新聞出身でテレビのニュースキャスターとして活躍した)に聞いたことがある。筑紫さん曰(いわ)く。産経は朝日を批判することで売れる(※存在感を発揮できる)けど、朝日は産経を批判しても売れない。だからやりません、って(苦笑)。

僕はね、新聞をはじめとする活字文化、紙の文化がとても大事だと思っています。まず、紙の〝手触り〟がいい。それに、ネットの情報は右から左へと、すぐに消えて(忘れて)しまうけど、一枚一枚紙をめくって、じっくり読んだ内容は記憶に残って消えないでしょ。

何より大事なのは、新聞には「いろんな情報がたくさん詰まっている」こと。「大人の知的好奇心」を刺激してくれる存在なんだよ。今の若い人たちは、ネットで「関心がある情報」しか見ませんし。だから、どんどん視野が狭くなってしまう。これは危険ですよ。新聞には見たくない情報や嫌いなことまで入っている。

たとえば、AI(人工知能)がどんどん発達して、人間が判断しなくてもAIが代わりにそれをしてくれるような時代になった。そうなっても人間の仕事は絶対になくならない。「迷う」ことこそが大事だからです。人間が「迷う」ことをしなくなるのは非常に危ない。産経新聞は、そうした危険性や新聞の重要性をちゃんとアピールをしてきたんですか? まだまだ努力が足りないんじゃないですか? 新聞の大事さを大人がしっかりと若い世代に伝え続けなきゃいけませんねぇ。

《一方で、田原さんは新聞の「質の低下」を指摘する。面白い記事を書けば、売れるはずじゃないか、と言うのだ》

新聞がなぜ売れないのか(発行部数の減少)? はっきり言えば、面白くないからですよ。(情報として価値がある)面白い記事が載っていれば売れるでしょう。僕は「紙の文化」が好きだけど、面白い記事さえあれば、アメリカの新聞社のように、紙を見限ってデジタルへ移行してもいいんですよ。

ではなぜ面白い記事がなくなったのか? それは記者の取材力が低下しているから。連載の初回でも少し話しましたが、20年前、30年前の記者は(各界の要人と)1対1で会って取材をしていた。今の記者はそれをやらない。記者会見にパソコンを持ち込んでカチャカチャやっているだけ。要するに〝会う力〟が無くなったんですね。そんな記者に面白い、突っ込んだ記事が書けるはずがない。

《あらゆる権力とケンカしてきたという自負がある。それは「潰す」ためじゃなくて「良くする」ため》

たとえば、朝日新聞はずっと自民党政権を批判してきたでしょ。僕は朝日の編集幹部に言ったことがある。「批判ばかりじゃダメだ。どうすれば日本という国が良くなるか」を考えなきゃいけませんよ、って。

僕は、あらゆるところを批判し、ケンカしてきたけれど、それは日本という国や自民党政権を「潰す」ためじゃない。「少しでも良くなる」ようにケンカしてきたんですよ。(聞き手 喜多由浩)

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