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宇都宮LRT開業1年 沿線は地価上昇や人口増加で波及効果 コンパクトなまちづくりの基軸に

産経ニュース / 2024年8月24日 15時50分

宇都宮市と栃木県芳賀町の間の全長14・6キロを最短42分で結ぶ次世代型路面電車(LRT)「ライトライン」が、26日で開業1年を迎える。乗客数は累計で400万人超と想定を超える好調ぶりで、沿線の人口増加や地価上昇といった経済波及効果も生んでいる。地方都市は車への依存度が高い傾向にあるが、宇都宮市は人口減少時代に対応したコンパクトなまちづくりの基軸にLRTを据える。

マンション建設相次ぎ沿線人口が増加

「時間が正確で利便性が良くなり、外出する機会が増えた。夫も飲み会からの帰りはLRTを利用するようになり、(車で)送迎しなくて済むので楽になった」。今月中旬、友人との待ち合わせのためにLRTに乗ってJR宇都宮駅に来たという沿線在住の主婦(58)は笑顔で話した。

開業以来の累計乗客数は7月2日に400万人を達成し、7月末時点では約442万人。直近の7月は約43万9000人と単月では開業以来最高を更新し、勢いは持続している。土日や祝日は1日1万人前後が利用し、想定の倍以上だ。4月から通勤・通学時間帯で増便したほか、一部の停留場を通過する快速の運行を始めたことも、使い勝手の向上につながっている。

北関東最大の都市である宇都宮市の人口は、平成29年の約52万人をピークに減少が続く。ただLRT沿線でみれば、開業前からマンション建設が相次いだことなどを背景に、24年と比べて約8%(約5000人)増加。芳賀町でも人口増加の効果があらわれており、その多くが子育て世帯だという。

地価も押し上げている。国土交通省が3月発表した栃木県内の公示地価(1月1日時点)によると、沿線では前年比で商業地が約6%上昇で、住宅地が約11%上昇。住宅地の上昇率上位3位をLRT沿線が占めた。

2030年代前半目指した延伸計画も

「(開業から)1年の中で大きく宇都宮を変えてきた」。宇都宮市の佐藤栄一市長はこう強調する。多くの地方都市が急速な人口減少と高齢化に直面する中、同市はLRTを基軸に路線バスなどを活用して市内のさまざまな拠点を結ぶコンパクトシティーの取り組みを推進。「人口減少の中でも地方都市が生き残っていけるまちづくり」(佐藤市長)を目指している。

LRTは現在、JR宇都宮駅東口を起点に東側の方向へ路線が広がっているが、2030年代前半の開業を目指して栃木県庁や宇都宮市役所、繁華街などがある駅西側へ延伸する計画がある。

交通計画と都市計画が専門で、LRTに長く関わってきた古池弘隆・宇都宮共和大特任教授は「宇都宮市は1人当たりのガソリン消費量が多く車への依存度が高い都市だったが、そうした地方都市でも車を持たない暮らし方が可能になりつつある。LRTは、まちづくりへの大きな一歩となった」と話している。(宇都宮支局長 伊沢利幸)

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