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「冷やし中華、終わりません」 年中楽しめる専門店 和風からフレンチ風までアレンジ自在

産経ニュース / 2024年10月20日 10時10分

「最初は常夏のハワイに出店を考えていた」という三浦直子さん(酒巻俊介撮影)

秋になると、メニューから消える「冷やし中華」。そんな夏の風物詩を、一年中味わえる専門店が東京にあるという。噂を聞いて、足を運んだ。

JR中央線で東京駅から27分。西荻窪駅(東京都杉並区)のすぐ近く、小さなビルの2階にあるのが、冷やし中華専門店「HiyaChu(ひやちゅう)」だ。扉を開けると、店主の三浦直子さん(44)がひまわりのような笑顔で迎えてくれた。

ラーメン評論家の大崎裕史さん(65)いわく、「おそらく、冷やし中華専門店では、通年営業している日本唯一の店」。3畳ほどの狭い店内に、わずか9席。営業は週3日、ランチタイムのみという知る人ぞ知る店だ。

平打ち麺と9種の具材

メニューは3~4種類の冷やし中華だけ。定番メニューの「ブラックビネガー」(1000円)を注文した。冷やし中華には珍しい平打ち麺に、なじみ深いしょうゆと黒酢のたれ。麺の上には、チャーシュー、ゆで卵、レタス、ワカメ、オクラなど9種類の具材がこんもりと盛られている。

「最初の一口からおいしく食べてもらえるように、麺にたれを絡めてからお出ししています」と三浦さん。長ネギ、ニンニクで風味をつけたたれが、コシのある麺にしっかりと絡みつく。個性の立つ麺や具を、たれのまろやかな酸味がまとめている。目新しさと懐かしさが絶妙なバランスをとる一皿だった。

なぜ年中食べられない?

三浦さんは、東京と並んで「冷やし中華発祥の地」とされる仙台市の出身。昭和初期に当地で初めて冷やし中華をメニューに加えたという老舗に客として通っていた。仙台には今も、通年で冷やし中華を提供する中華料理店が数軒あるというが、他の地域では夏限定。「どうして年中食べることができないんだろうと、ずっと疑問だったんです」

ならば、自分で店を出してみよう。どうせなら、冷やし中華の専門店で-と、6年前に東京・赤坂に初出店し、吉祥寺を経て、昨年夏から都会の隠れ家のような現店舗に落ち着いた。

旬の食材を取り入れて

通年営業してはいても、やはり〝旬〟は暑い季節。夏場は遠方からの客も多く店の前に行列ができる。秋冬は常連や熱心な冷やし中華ファンが中心となる。飽きずに足を運んでもらえるよう、季節に応じて、麺の締め具合を変えているほか、毎月、旬の食材を使った限定メニューを開発して季節感を打ち出している。

例えば、麺の上にオマールエビを丸ごと1匹のせてエビの殻でだしを取ったソースと合わせたり、自ら釣り上げたアジをフライに仕立て、熱いままトッピングしたり。フォアグラのソテーやブランド牛のハンバーグをトッピングにしたこともある。これまでに提供したアレンジ冷やし中華は、100種類に迫るという。

「冷たい中華麺を使ってさえいれば、『こうじゃなければ』というルールがないのが冷やし中華。中華風や和風はもちろん、イタリアンにもフレンチにもどんなふうにもアレンジでき、可能性は無限大です」

冷やし中華の変幻自在の魅力に取り込まれた三浦さんの、大きな瞳が輝いた。(田中万紀)

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