猛暑到来、今後1カ月は全国で平年より高温 南方沖の海水温上昇で高気圧が「2重の布団」に
産経ニュース / 2024年7月22日 19時19分
関東甲信や近畿など各地で梅雨明けが発表され、本格的な夏のシーズンが到来した。気象庁はこの先1カ月、全地方で平年より高温になる確率が高いと予想し、記録的だった昨年に続き、今年も猛暑が見込まれる。フィリピン沖の海面水温上昇で大気の対流活動が活発化し、日本付近では高層と低層の2つの高気圧がまるで「2重の布団」のようにのしかかるのが原因だ。
「太平洋高気圧、チベット高気圧がともに平年に比べ、やや強くなる。十分な熱中症対策をしてもらいたい」
気象庁の森隆志長官は17日の記者会見でこう述べて注意を呼びかけた。
〝ダブル高気圧〟の発生は日本の南方、フィリピン沖で始まる。長期間かけて変化する太平洋の海流の影響で、フィリピン沖で平年より海水が高温になる「ラニーニャ現象」に近い状態となることが予想される。
その結果、フィリピン沖で大気中の水蒸気量が増え、対流活動が活発となるため、南方で発生した上昇気流は日本付近で下降気流となる。下降気流が強まると気圧が高まり、高層では大陸側からチベット高気圧が日本付近へ張り出してくる。
チベット高気圧の張り出しは高層を常に西から東へ吹く偏西風を北側へ押しやる。大気の状態が変わりにくく、低層での太平洋高気圧の張り出しを招く。こうして日本付近は高層と低層で2つの高気圧に覆われ、雲の発生が少なく晴天が続き、地表では猛暑となる。
18日発表の1カ月予報では8月中旬までの間、北海道から沖縄までの全地方で気温が平年より高くなる確率が70~80%と予測。気象庁関係者も「ここまで高確率が出るのは珍しい」と話す。
昨年6~8月の平均気温は記録的だった。過去30年間の平年差がプラス1・76度と、平成22年以来、統計開始以降の最高記録を更新。遠因となるラニーニャ現象は収束時期にあったが、名残があったとみられる。
今年は秋にかけてラニーニャ現象の出現が予想される。気象庁の担当者は「しばらく高温をもたらす要因が重なるパターンが起きやすい。少なくとも9月までは高温傾向が続く可能性が高い」と話している。
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