漁師の晴れ着「万祝」は江戸時代の千葉・房総で発祥 鴨川の職人が今も受け継ぐ染色技法
産経ニュース / 2024年8月23日 20時40分
江戸時代に房総半島で発祥したとされ、東日本の太平洋沿岸に広まった漁師の晴れ着「万祝(まいわい)」。昭和30年代には習俗として衰退したが、漁師の誇りと喜びが凝縮されている。鴨川市の職人は今も万祝の染色技法を受け継ぎ、県も万祝の特別展を通じて漁師文化の一端を紹介している。
かつて「紺屋」と呼ばれた染物業の「鴨川萬祝染 鈴染」(鴨川市)は現在も、万祝の下絵から仕立てまで一連の製作工程を手がけている。創業は大正14年。県内では「浜ごとに1軒はあった」と伝わる紺屋だが、現在はわずかしかない。
「鴨川萬祝染」で県から伝統的工芸品の指定を受けている3代目の鈴木幸祐さん(69)によると、万祝に代わって、最近はイベントの衣装や飲食店内に飾る大漁旗のほか、米寿や古希の節目を祝う半纏(はんてん)の注文が多いという。
父、鈴木さんの背中をみながら修行を積む次男の理規さん(34)は約10年前、家業を継ぐかどうか悩んだことがあった。
大学卒業を控え、大手企業に内定を得ていた。だが、2代目の祖父が亡くなり、「家業がどうなるか本気で考え、どうするか悩んだ」。継いでも不安定な職業に変わりはない。モヤモヤしながら大学4年の夏、米国横断旅行に出かけた。
旅先で立ち寄った米カリフォルニア州・モントレー。偶然、大漁旗を目にした。祖父と父による共同作品だった。鈴木さんは「私の同級生の漁船の名前だった」と振り返る。
海を渡った大漁旗。理規さんは「びっくりした。でも、モノづくりを通して世界やいろいろな人とつながる仕事の方がおもしろい。一度きりの人生。自分にしかできない仕事がしたい」と決めた。帰国後、内定を辞退した。
4代目誕生に「大変だから継いでもらうかは迷ったが、やるからには懸命にやってもらうしかない」と目を細める鈴木さん。理規さんは「最近、安房地域の若い漁師から注文が飛び込んだ」と目を輝かせる。大漁を祝う自身へのほうびに万祝をつくってほしい-。漁師の心意気を粋に感じ、培った匠の技で丁寧に仕上げたという。(岡田浩明)
◇
万祝 江戸時代後期に房総半島で始まった。網元や船主が漁師に大漁祝いの祝儀として反物を配り、それを仕立てて正月などに着用した。背中に家紋などを入れ、裾には縁起のいい鶴亀模様や獲得した魚などを描いた。昭和30年代になると、万祝そのものは衰退したが、染色技法は継承され、万祝も地域の祭礼の晴れ着などに形を変えて受け継がれている。
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