生まれ変わった旧湯川博士邸、「安藤建築」と共存し再出発
産経ニュース / 2024年6月13日 17時3分
日本人初のノーベル賞受賞者、湯川秀樹博士が晩年を過ごした京都市左京区の邸宅が京都大に寄付されることに伴い、報道陣向けに改築工事を終えた現場が公開された。湯川博士の私生活に触れられるだけでなく、世界的建築家の安藤忠雄氏が手がけたロビーなども共存する格式高い施設として生まれ変わった。
邸宅は「下鴨休影荘(きゅうえいそう)」と命名され、京大を訪れた客人や研究者らを迎える迎賓施設として利用される。このほか年1~2回程度、地域住民向けの特別公開も行われる。
邸宅は京大への寄付を前提に、建設大手「長谷工コーポレーション」(東京)が湯川氏の親族から購入。設計は安藤氏の事務所が無償で手がけた。
湯川博士が昭和56年に74歳で亡くなるまで24年間過ごした邸宅は、当時の様子を残した「既存部分」と、安藤氏が設計した「改築部分」に分けられる。
玄関には、中国の古典「荘子」から引用し、邸宅の名称となった湯川博士直筆の書「休影」が掲げられている。応接間として使われていた部屋ではソファが当時のまま配置されている。
また安藤氏の設計で、新たに曲線を生かした木造のロビーが設けられ、客人らをもてなす場として使用される。邸宅内には湯川博士が日本人として初めてノーベル賞を受賞した際のメダルも展示されており、偉大な功績に触れることができる。
記者会見した安藤氏は「敗戦で打ちひしがれていた日本人を、湯川氏はノーベル賞受賞を通じ励ました。ぜひ(設計を)行いたいと思った」と話していた。(木下倫太朗)
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