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広告は新聞とテレビすみ分け可 第三種郵便めぐり郵政大臣に直談判 渡辺恒雄さん(13) アーカイブ「活字文化考」

産経ニュース / 2024年12月31日 11時0分

読売新聞の渡辺恒雄社長=平成7年9月21日

――第三種郵便物の認可を受けないと選挙報道はできない。

渡辺 選挙報道のできない新聞は新聞じゃないです。そこで僕は郵政大臣に対し、この(第三種郵便物は全紙面の広告比率が)五〇%以下という枠を少しでも広げてくれといったんだ。バブルの最中で広告が非常に多かったときです。

一種の情報として広告をアレンジすれば、それは報道とみなすと改めれば、広告が六割ぐらい載せられるんです。そういうことを僕は日本新聞協会の税制対策特別委員長としてやったことがあるんだ。確かに省令か通達になった。ところが不況になり、広告の出稿数が少なくなってきたんで、六割まで広告で埋まらんのですよ、いまや。

――広告料のランク付けはどうなんでしょうか。読売新聞は一千万部あるから高いと思いますが、特定の読者層を狙って打つ広告の場合は、別の基準があっていいような感じがします。テレビ広告は第三者による視聴率という広告単価の基準になる数値があるし、新聞協会でも広告料の基準となる指標みたいなものを決める第三者機関を作ることは、どうでしょうか。

渡辺 そのためにABC協会(新聞雑誌部数公査機構)があるわけでね。ABC協会で部数を考査している。考査するために新聞の輪転機を回すのにかかった電力の量、搬入された紙の量、発送された新聞の量など全部調べて、正確な数字を出して各紙の部数を認証するわけですね。この認証部数に基づいて広告効果というものが出てくるから、それで広告料が決まってくる。

どこの新聞社でもやっていることだけど、広告のクライアントに対して、広告の効果がどれだけあるか。これもいろいろ調査していますよ。どのクラスはどういう自動車を買うとか、どのクラスは広辞苑を使うとか、いろいろな効果を調査し、それに基づいて広告主と取引している。

たとえば食品、化粧品、単純な医薬品などは、新聞よりテレビのほうが広告効果があるんですね。だから新聞に来るのは少ない。ただ、アサヒビールの樋口廣太郎会長に聞いたんだけど、新製品を出すときは絶対、新聞に限るそうですよ。「スーパードライ」という言葉だけじゃなく、細かい活字で、その商品特性、「スーパードライ」がどういうものであるかという文字による説明を相当入れることができる。テレビの「スーパードライを飲もう」なんていう一行のコピーで、その商品特性が分かるわけないんですよ。そこで新製品がある程度定着したら、あとの反復広告はテレビの一行のメッセージでいいと、分業が成り立っているわけですね。

――テレビの場合は世帯視聴率に加えて個人視聴率も出そうという動きがありますね。新聞も個人視聴率に当たるような基準を作らなきゃいけないんじゃないかなという気がしますが。

渡辺 それは企業の側がすでに十分調べているんですよ。たとえば、不動産会社がどの新聞に出した場合一番効果があるかとか。出版社は本のなかにはがきが入っていて、「購読紙は何ですか」という欄がある。堅いものはこの新聞、柔らかいものはこの新聞と、自然に分かるんですよ。

――クライアント側の調査で…。

渡辺 それはお互いに商売ですから抜け目なくやっているんですよ。どうぞ、ご心配なく。 (文化部長 小林静雄)

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