「ルフィ」ら悪用、犯罪悪用相次ぐテレグラム スマホ解析、警視庁が体制強化
産経ニュース / 2024年9月17日 23時47分
テレグラムやシグナルといった秘匿性の高い通信アプリは日本でも犯罪グループに悪用されることが問題となっている。
捜査関係者によると、テレグラムを悪用した犯罪は平成30年ごろから台頭。当初、利用していたのは、主に通信傍受法に基づいて通話を傍受される暴力団関係者だったという。その後、特殊詐欺や強盗、フィッシング詐欺の「詐欺ツール」の売買などで使われるようになった。
近年、注目を浴びたのが、令和4、5年にかけて全国で相次いだ広域強盗事件だ。逮捕者らの供述によると、X(旧ツイッター)などの「闇バイト」募集に応じた犯行メンバーは、「ルフィ」などと名乗る指示役らからテレグラムのチャットを使い、やりとりをするよう指示されていた。
テレグラムのやりとりは一定期間で消えることから犯罪に悪用されているが、実行犯の中には、やりとりをスマートフォンの機能を使い、画像として保存していたケースもあったとされる。
こうした画像や地道な解析で、警視庁はルフィ事件の凶行の全貌を浮かびあがらせた。捜査幹部は「ごみ箱に広がった小さい破片を1つ1つ組み合わせていく捜査だった」と振り返る。
一方、電子記録や防犯カメラ画像などの「客観証拠」を重視する風潮とともに警察が扱うスマホの解析件数は増加。ルフィ事件といった個々の捜査の経験値も積み、解析技術は向上している。
さらに、捜査関係者によると、警視庁で事件捜査を科学技術面でバックアップする「捜査支援分析センター」(SSBC)に数人の技官が専従で解析に当たるようになるなど体制整備も進められている。
こうした状況から、近年の警察ではテレグラムといった表面上消去されたデータであっても復元する技術は十分に備わっているとされる。その解析拠点の中核はSSBCで、警視庁幹部は「最新のアプリも注視し解析できるように対策している」と自負している。(内田優作、前島沙紀)
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