「ごつごつした皮膚」の牛が国内でも 日本初上陸のランピースキン病、人体には影響なし
産経ニュース / 2024年11月21日 8時0分
牛が感染する「ランピースキン病ウイルス」が6日、国内で初めて福岡県で確認された。同県の服部誠太郎知事は18日、まん延を防ぐため、家畜伝染病予防法に基づくワクチン接種命令を出した。致死率は高くなく、ワクチンで一定程度予防できる上、人には感染しないとされるが、農林水産省や畜産業者は警戒を強めている。
ランピースキン病は蚊やハエ、ダニなどに媒介されるか、汚染された資料や器具などから、さらに感染した牛の移動でウイルス感染する。2010年代に中東や南欧で初めて確認され、その後アジアへ拡大した。ランピースキンは「ごつごつした皮膚」という意味で、感染した牛は全身の皮膚が膨らんだり(結節)、水腫、発熱、鼻水、鼻血といった症状が出たりする。不妊や流産のほか、乳牛の場合、乳の出が悪くなるなど生産性に問題が生じる。
致死率は1~5%と牛海綿状脳症(BSE)や口蹄(こうてい)疫に比べて低い。感染した牛の肉や乳が市場に出回ることもなく、人間が飲食しても影響はないという。
農水省によると、7日時点で発生報告があるのは87カ国・地域。アジアやアフリカが主となっている。韓国では昨年10月以降、全土で発症例が確認され、これまでに242頭を殺処分した。昨年11月に全頭へのワクチン接種を終えたが、今年4月から2回目や緊急のワクチンを追加接種するなど対応に追われている。
農水省は1月に対策検討会議を開いた上で、米国から20万回分のワクチンを輸入、備蓄した。対策として、害虫の駆除以外にも、早期発見が有効なことから、毎日の牛への健康診断や疑わしい牛の隔離などを呼びかけている。(五十嵐一)
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