「壬生六斎」に女性メンバー誕生、活動熱望で開かれた門戸
産経ニュース / 2024年8月7日 14時45分
京都五山送り火とともに8月の風物詩とされる京都の民俗芸能「六斎念仏」。京都市内に14ある六斎念仏の保存団体の中で女性メンバーがいなかった壬生(みぶ)六斎念仏講中(京都市中京区)に今年、初めて女子が加わった。9日の壬生寺(同区)の盂蘭盆会(うらぼんえ)で本格的にデビューする。
新たに加わったのは朱雀第三小の5~6年の女子児童と京都府立桂高校の女子生徒の計5人。2日にあった稽古では、基礎となる「四つ太鼓」や小太鼓を打ちながらしなやかに踊る「花京娘(はなみやこ)」などの曲を練習した。四つ太鼓は子供から大人まで幅広い芸歴の者が順番に打ちつなぐため、打ち手の個性が出やすい。花京娘は同講中の原田一樹会長(40)が「女の子たちの動きや踊りを生かしたい」と今年作ったオリジナルの新曲だ。
六斎念仏は、鉦(かね)や太鼓を打ち鳴らし念仏などを唱えながら踊る平安時代に始まったとされる芸能。国指定の重要無形民俗文化財であるほか、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された「風流(ふりゅう)踊」の一つでもある。
新メンバーのうち4人の女子児童は、朱雀第三小で地域の伝統芸能を継承する目的で創設されたクラブ活動「六斎キッズ」のメンバー。ただキッズに所属できるのは6年までで、卒業すると六斎念仏から離れる女子児童も多い。そんな中、卒業後も活動に関わりたいと熱望する声が女子児童から上がり、原田会長が今年から門戸を広げた。条件は「一生続ける意志のあること」(原田会長)。同講中は祇園祭の綾傘鉾の囃子(はやし)方を務めるため、これまで女性の登用に慎重な一面もあったという。
5年生の川崎りんさん(10)は「六斎キッズとしてモダンダンスの公演に出て六斎に入りたいと思った。ずっと続けたい」。高校2年の石上心都(こと)さん(16)は「小さい頃から見ていたのでなじみがある。発表の場もあってやりがいを感じる」と話した。
原田会長は「六斎念仏は生活の一部。男女問わず熱心な子供たちにこの芸能を継承したい」と強調した。
壬生寺盂蘭盆会の壬生六斎念仏の奉納は9日午後7時から。鑑賞無料。(田中幸美)
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