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橋下氏はいい参謀と政策出せればやれる 読売新聞グループ本社会長・主筆 渡辺恒雄(中) アーカイブ「話の肖像画」 リーダーに贈る

産経ニュース / 2024年12月19日 16時10分

本紙政治部の単独インタビューに応じる、読売新聞グループ本社会長・主筆の渡辺恒雄氏=2012年4月、東京・銀座の読売仮社屋

――橋下徹大阪市長のことはどう評価しますか

渡辺 まず、彼がなぜ急に彗星(すいせい)のごとく現れたのか。明らかに自民、民主両党の不毛な対立に対する国民の飽きですよ。両党ともちゃんとしたリーダーが覇権を握っておらず、ぐずぐずしている。参院のねじれも大きな理由だが、この無為無策に対する不満と飽きが消極的な面で橋下さんを持ち上げている。そして、各党を引き寄せる求心力を持っちゃった。

彼自身の才能か大衆がそうさせているのか、国民が二大政党に飽きたときにこういう人が出てくるのは、歴史的に見るとヒトラーの台頭を想起させる。当時のドイツはものすごいインフレで、政党も力を持たなかった。ヒトラーはそういう時代にうまく世論をつかんだ。今の日本も、どの政党もちゃんとしたリーダーシップを発揮していない。

――時代背景が似ている点があると

渡辺 昔はラジオしかなかったが、橋下さんはテレビ・ポリティックスやネット・ポリティックス、いやツイッター・ポリティックスと言っていいのか、電子媒体を百パーセント利用しているね。日本で全面的にテレビを利用した政治家は小泉純一郎元首相が初めてだが、橋下さんは小泉さんのワンイシュー(一問題)・テレビ・ポリティックスより一歩抜きんでている。

――どんなところが

渡辺 橋下さんが掲げた「維新八策」ですよ。ワンイシューではなくエイトイシューにした。8項目の政策を並べるのは確かに知恵だね。ただ、首相公選制には疑問がある。議院内閣制で議員の中で選ぶ分にはいいが、大衆の票で首相を選ぼうとすると刺し合いになる。米大統領選のように必ずネガティブキャンペーンが始まる。ネットの発達で、発信人不明の中傷情報がどんどん出る。

――橋下氏のリーダーとしての資質はどうか

渡辺 いい参謀がついていい政策が出せれば、彼はやっていけるだろう。リーダーの資質は結局、他人の言うことを聞く、しかし、責任は取ると。これに尽きる。一人の人物の能力には限界があることをトップになる人も国民も双方が知らなきゃいかんな。

ただ、橋下さんがTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加まではいいが、消費税増税と原発再稼働はダメだと言うなら支持できない。読売新聞の社説と対立するから、主筆としては支持できない(笑)。

――次期衆院選での維新の会躍進の可能性は

渡辺 大阪維新の会が100議席を超すとは思わない。今、1人の公認候補もいないんだから。300人の候補者を立てるというが、一つ一つの小選挙区で地盤を作り、有力者を握るのは大変だ。議席は最大でも50でしょう。でも、維新が50とれば完全なキャスチングボート政党ですよ。それは間違いない。緒方竹虎(自由党総裁)は昭和30年の保守の大同団結を前に、「爛頭(らんとう)の声明」で、「キャスチングボート政党を許してはならない」と言っているが…。

――ところで橋下氏は、「渡辺氏の方が堂々たる独裁」と反論していますが

渡辺 独裁ならとっくに原発は再稼働し、消費税は上げ、TPPは参加している。力がないから、僕の言うことが何一つできずにいる。政党も政府も動かない。 (阿比留瑠比)

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