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失敗は「恥」…現場の意見顧みず盲進した日本軍 現代に通じる教訓

産経ニュース / 2024年8月16日 19時16分

防衛省防衛研究所戦史研究センター史料室の松原治吉郎主任研究官=8月6日、東京都新宿区(池田祥子撮影)

「『この方針は無理だ』との思いを共有し、皆がやめたいと思っていても、言い出せない。今の時代、私たちにも思い当たることはありませんか」。防衛省防衛研究所の松原治吉郎主任研究官はこう問題提起する。

「失敗から学ぶべきことは多いが、日本軍は失敗を『恥』ととらえて隠蔽した。国家の存亡がかかるとき、どこかで原因を考える必要があった」

米海兵隊は「失敗したら修正する」をモットーにしている。プランAがだめなら、Bで行くという柔軟性を示している。

日本軍の場合、いったん決めたことは修正や変更がきかず、抜き差しならない事態まで突き進む傾向が強かった。「戦略面でまとまった方向を示す人がおらず、結局は『玉虫色』で決着した。上層部の現場軽視から、思い付きともとれる作戦も発動された」

意見する人が皆無だったわけではない。ガダルカナル島の戦いでは、十分な補給がない中での作戦発動は控えるべきだと陸軍第17軍参謀長が進言。無謀な作戦の代名詞とされるインパール作戦でも第15軍参謀長らが中止を求めたが、いずれも顧みられなかった。

「組織からみれば(意見する人は)ルールを守らない人。『やる気がない』とみられ、『空気が読めない』存在として左遷された」

貴重な人材を有効活用していたとも言い難い。松原氏は航空機の搭乗員養成を例に「野球でいえば日本は4番バッターやエース級に頼り切り、裾野が広がらない欠点があった。一方、米軍は合格点に達すればよいと考え、平均的な搭乗員を量産した」と指摘する。

「日本軍の問題点は、今のわれわれが抱える問題と通底している」。松原氏は「過去にふたをするのではなく、現代に生かす。今に照らし合わせて客観的に検証することが必要だ」と話した。(池田祥子)

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