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病や障害があってもなくても、おしゃれを忘れない 「着たい服を着る」ことを諦めない 大人流素敵の見つけ方(239)

産経ニュース / 2025年1月24日 7時30分

プラスパッドジーンズのお尻部分には、取り外し可能なパッドが入っている(酒巻俊介撮影)

多様な個性を尊重して受容することが重視される令和の時代。年齢や性別、障害の有無を問わず誰にでも使いやすいユニバーサルデザインが、ようやく浸透してきました。今回は連載コラム「大人流 素敵!の見つけ方」の拡大版。スタイリストの石田純子さんが見つけた、ユニバーサルデザインのおしゃれなアイテムを紹介します。

フリルで胸元をカバーしたベスト

胸元にたっぷりとフリルをあしらったベスト。誰が着ても素敵ですが、このフリル飾りは、もとは乳がん術後の胸元カバーのために考案されたものでした。「ナオカケル」というブランドのアイテムで、考案したのは令和3年に乳がんで世を去ったデザイナー、中島ナオさんです。

ベストは今年の新作。中島さんが生前、「病があってもなくても、おしゃれで気楽に着られるから」と構想し、母の加藤ゆう子さん(68)らが4年がかりで形にしました。

首元と袖ぐりが大きく開いており、下がシャツでもパジャマでも、上から「すぽっ」と着ればおしゃれに。ブラジャーを着けずにTシャツで過ごす夏場、急な宅配便の受け取り対応などにも便利です。

2月発売のモノトーンのボーダー柄のワンピースもコンセプトは同じ。着れば一枚で様になり、胸元からふわりと落ちるギャザーが体形をカバー。首元で結んだボウタイが、加齢による首のたるみや、胸元の手術痕などを隠してくれます。

車椅子のままでも着やすいポンチョ

「ピロレーシング」というブランドのダウンポンチョ(4万9500円)は、もともと車椅子ユーザー向けに開発されたもの。デザイナーは元レーサーで、事故により車椅子生活になった長屋宏和さん(45)。昨年秋、セレクトショップ「ビームス」の監修でリニューアルしました。

車椅子に乗ったままでもさらりと羽織れるように、背もたれと重なる部分の丈が短いのが特徴。このすっきりと洗練されたデザインが和装の女性や赤ちゃんを抱くお母さんにとっても「着やすくて温かい」と好評で、思いがけないニーズと一致したといいます。

転んだときのけがを防ぐジーンズ

このダウンポンチョに合わせたのは、デニムの産地・岡山発のブランド「AUN」のプラスパッドジーンズ(2万6400円)。外からは見えませんが、お尻を覆う部分に約6ミリの薄くてやわらかいパッドが入っていて、転倒時のけがを防ぐようになっています。今年はゆったりとしたシルエットのジーンズが流行中。高齢者はもちろん、若い世代が着ても違和感のないデザインです。

上田剛慈代表(51)は「目指すのは、健康な人もそうではない人も同じようにファッションを楽しめる社会。このジーンズを、健康な人が『おしゃれだから』と選んでくれることが、一つのゴールです」と話していました。

「ナオカケル」の中島さんは生前、「ファッションは生きる力」と話していたそうです。病や障害があっても「着たいものを着る」ことを諦めないでほしいと思います。そして、病や障害がある人にとって着やすく過ごしやすい装いは、それ以外の人の身も優しく包み、心を満たすものになるでしょう。(スタイリスト 石田純子)

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