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北の鉄路を考える③ ヤマ線はバス転換できない!?の巻 帰ってきた令和阿房列車で行こう 第三列車

産経ニュース / 2024年6月22日 10時0分

1両編成のH100形気動車は、ヤマ線の勾配を軽快に駆け上がっている。10人程度だった乗客も蘭越からどっと増えて座席はほぼ埋まった。

羊蹄山がくっきり見え始めると、もうニセコだ。東京は雨空だったが、当地はからりと晴れている。サンケイ1号君が一緒だとこうはいかない。ある意味、大変な神通力である。

俱知安の改札口で、鉄道に詳し過ぎる鉄道乗蔵(のるぞう)さんが、にこやかに出迎えてくれた。彼の愛車に便乗し、岩内へ向かう。

かつては小沢から岩内線が走っていたが、とっくの昔に廃線となり、日曜はバスの便も悪い。なぜ、岩内へ行くのか。実は乗蔵さん、生まれ故郷の岩内を拠点に全国の鉄道を乗り歩き、ヤフーニュースなどネットメディアや雑誌に鉄道情報を発信し続けているのだ。「新橋かどこかのオフィスで書いていると思っている読者が多いんですよ」と、乗蔵さんは笑う。

彼の愛車は1号君のケービン号と違って大きく、乗り心地もいい。俱知安には陸上自衛隊の駐屯地もあるが、「周辺の土地を中国系企業が買っているという噂があるんです」と言うので、疑惑の土地を見に行った。草ぼうぼうの荒れ地で所有者の看板もかかっていない。

尊敬するM記者なら徹底取材するところだが、先を急ごう。

駅の周辺と北海道新幹線のルートは、あちこち更地にされ、新幹線の建設工事が本格化していることがはっきり分かる。

だが、新幹線の新函館北斗―札幌間の延伸は、目標としていた6年後の令和12年度中の開業が不可能になった。羊蹄山の麓を貫く羊蹄トンネルなどで想定外の硬い岩塊群にぶち当たり、工事が遅れに遅れているのだ。建設している鉄道建設・運輸施設整備支援機構が「数年単位の遅れ」というから穏やかではない。

「これがいま、大問題になっているんです」と、乗蔵さんは顔をしかめる。

函館本線のうち小樽―長万部(ヤマ線)は、新幹線開業と同時に並行在来線扱いとなり、JRが手放していいことになっている。他の地域なら、地方自治体などが主体となって運営する第三セクター鉄道として再出発するのが普通だが、2年前に沿線自治体などでつくる並行在来線対策協議会が、ヤマ線の廃止とバス転換を決めてしまった。

しかし、北海道庁はバス転換へ向けた具体的協議をバス会社と全くしていなかったことが、5月5日にBSフジが放送した「今こそ鉄路を活(い)かせ!地方創生への再出発」という番組で明らかになった。

乗蔵さんは「全国的な運転手不足でバスへの転換がうまくいくはずがない。特に小樽―余市間は1日2千人の乗客がおり、バスでは無理だ。対策協議会は、最初から廃止ありきで、道庁の責任は重い」と憤る。

高台にある彼の家からは海を挟んで泊原発がよく見える。寄り道して原発に通じる道を走ったが、舗装もよく、新たにできたトンネルも橋も実に立派だ。そのカネの一部を、公共交通機関の維持費に回してもバチはあたるまい。鉄路がなくなれば、街はどうなるのか、は明日のこころだぁ!(乾正人)

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