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「幸せの国」ブータンの国民食、トウガラシたっぷりのチーズ煮込み「エマダツィ」

産経ニュース / 2024年6月30日 10時0分

店内には幸福や健康を祈るブータンの祈禱旗「ルンタ」が飾られている(酒巻俊介撮影)

南アジアに位置し、「世界一幸せな国」とも呼ばれるブータン。日本と同じく米が主食で、トウガラシやチーズを使った独自の食文化がある。ブータンの国民食ともいわれる「エマダツィ」の主役は、夏が旬の青トウガラシ。たっぷりとしたチーズで煮込んだシチューのような料理で、食べると夏バテも吹き飛びそうだ。

靖国神社や北の丸公園など、都心の名所からほど近い住宅街に、ブータン料理店、LASOLA(東京都千代田区)がある。

ヒマラヤ山脈の東端に位置し、国土の大部分を山岳地帯が占めるブータンで、トウガラシは料理に欠かせない「野菜」として食べられている。

「ブータンは世界一トウガラシを使う国で、エマダツィはまさに、トウガラシが主役の料理です」

そう語るのは、店主の村上光さん。ブータンの公用語、ゾンカ語でエマはトウガラシ、ダツィはチーズ。日本のみそ汁のように、日常の食卓に並ぶ国民食だという。

村上さんは平成23年から都内のブータン料理店でシェフとして働き始め、令和3年にLASOLAを開業した。それまでブータンについては何も知らなかったが、シェフ就任を機に行き来するようになった。

現地を訪れると、トウガラシを野菜として広く使う食文化を目の当たりにして衝撃を受けた。「市場では山のようにトウガラシが積まれ、市民が大量に買っていく。子供も大好きで、生のトウガラシに塩をかけておやつのように食べるんです」(村上さん)

ブータンの主食は日本と同じく米で、赤米も食されている。エマダツィは、ご飯との相性が抜群。まさにブータンの「みそ汁」だ。

コクがありさっぱりと

村上さんが作るエマダツィも、そんな本場の味を踏襲する。器には、青トウガラシが9本ほど。スプーンですくい口に運ぶと、トウガラシの辛みが舌と喉を刺激し、思わずせき込んだ。が、チーズのスープは、コクがありながらさっぱりしていて、肉厚のトウガラシも食べ応えがある。お供のご飯で辛みを和らげ、スプーンが止まらなくなった。

エマダツィの作り方を教えてもらった。

同店では、肉厚な韓国産のトウガラシを使用。スーパーで選ぶ際は、「肉薄のものは辛い場合があるので、注意が必要」(村上さん)という。辛いのが苦手という人には京野菜の「万願寺とうがらし」が甘みもあって、おすすめだ。

材料(1人分)は、青トウガラシ9本(縦半分に切る)、ショウガ、ニンニク(いずれもすりおろし)各小さじ半分弱、赤タマネギ1/4玉(薄切り)、プロセスチーズ80グラム。サラダ油と塩も各適量。水250ミリリットルを入れた鍋に全ての材料を入れ、沸騰したら蓋をして中火に。5分ほど煮込んで完成だ。

ブータンは、GDP(国内総生産)といった経済指標よりも、国民の精神的な充足度を表すGNH(Gross National Happiness=国民総幸福量)を国の政策として重視。「世界一幸せな国」といわれてきた。

村上さんは、ブータンの魅力について、「おばあちゃんの家に帰ったときのような温かさがある」と語る。人々の暮らしが昔と変わっても、「家族や仲間を大切にし、身近なものへの感謝が常にあるのを感じる」という。

そんなブータンで家庭の食卓の真ん中にある「エマダツィ」を、もっと日本の人に味わってもらいたい、と村上さんは笑顔を見せた。(本江希望)

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