介護のため実家に戻る？ 仕事は辞めず親の意見をしっかり聞いて 100歳時代の歩き方 イマサラＱ＆Ａ

遠方の実家に住む親が弱った。どうしたらいいのか。地域包括支援センター長も務め、介護を熟知する社会保険労務士に聞いた。

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Ｑ　久々に帰省したら、１人暮らしの親の状態が悪くなっていました。歩行はおぼつかないし、買い物も大変そう。実家に戻ったほうがいいでしょうか

Ａ　仕事を辞めて戻るということ？　すぐには決めないでいただきたい。まず、生活を支える収入がなくなります。さらに何十年も離れていた親子が一緒に暮らせば、価値観や生活時間帯が違い、不満がたまっていくでしょう。多くの人が介護の相談をする場所である地域包括支援センターに勤めていたとき、退職してから親の介護の相談に来たケースがありました。「辞める前に相談してくれたら」と悔しかったです

Ｑ　うちの近所にアパートを借りて呼び寄せるのはどうでしょう

Ａ　多くの高齢者は地元を離れたくありません。長い時間をかけて培ってきた人間関係があります。親の本心をよく聞いてください。子供の都合で決めてしまわず、対話を重ねることが大切です

Ｑ　でも物理的な距離が離れていると、身体への介護ができません

Ａ　直接的な介護は主にヘルパーなどのプロがします。家族の介護とはマネジメントをすることです

Ｑ　マネジメント…管理するということですか

Ａ　はい。介護内容のマネジメントはセンターやケアマネジャーが手伝いますので、家族の意見や方向性をマネジメントしてほしいのです。介護をどう進めるか、親と家族の意見を集約することが、家族がする介護です。実際、センターの相談員が困るのは、子供が親と話さないなど、家族間の意見の共有が図られていないことです。家族関係や意見の調整は家族にしかできません

Ｑ　遠距離でも介護はできるんですね

Ａ　物理的距離より、対話で精神的距離を縮めるほうが、ずっと大事です

（回答者　社会保険労務士　山本武尊（たける））