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歴史的凶作で収穫は昨年の半分か 山形サクランボの象徴・佐藤錦は品種替えの恐れも

産経ニュース / 2024年6月28日 12時40分

サクランボの生産量が全国1位の山形県で、歴史的凶作が現実になりつつある。昨夏の高温の影響で2つの実がくっつき、商品価値が落ちる「双子果」が激増し、今年に入ってからは暖冬、多雨、高温がサクランボにダメージを与えている。収穫高は昨年の半分との見方もあり、JA関係者は「歴史的凶作」を口にする。気候の変化に弱い山形サクランボの象徴「佐藤錦」は、別のサクランボに品種替えを余儀なくされる恐れも出てきている。

予想大幅に下回る収穫量

「今年の収穫は例年の半分というのが大方の見方。歴史的な凶作と言わざるを得ない」。山形県庁に吉村美栄子知事を訪ねたJA山形中央会の折原敬一会長は27日、そう声高に訴えた。

県は当初、今年の収穫量を昨年の1万3千トンを下回る1万2100トン(昨年比91%)と予想していたが、これを大幅に下回る見通しとなっている。「実情はつかめていない。恐らく、(昨年の)半分だろう」と折原会長。

高級品種「佐藤錦」や「紅秀峰」、2年前にデビューして〝次代のエース〟の期待がかかる大粒の「紅王」…。しかし、今年は実の部分がくっついてハート形に見える「双子果」が多いという。昨年夏の猛暑の影響とみられる。双子果は味は変わらないが、出荷量を保つため早めに摘果される。

県園芸農業研究所によると、詳しいメカニズムは不明だが、花芽ができる8月中旬に高温が続くと、一つの花に雌しべが複数でき、双子果になりやすいとみられる。

折原会長と一緒に吉村知事に面会した各地域のJAグループのリーダーたちも惨状を訴えた。

「昨年の43%しか出荷できない」

「平年通りの出来だったが、収穫を急ごうにも人手がなく収穫できなかった」

「異常気象から災害に変わった。収穫ゼロの農家もいる」

暑さ対策支援を要請

JA関係者は吉村知事に、スプリンクラーなど暑さ対策の設備導入や、暑さに強い品種開発などへの支援を緊急要請。吉村知事も「サクランボは山形のシンボルで、地域経済にも関係する特別なものだ。意見を踏まえて対応する」と応じたものの、特効薬があるわけではない。

折原会長は、長年サクランボ王国・山形を支えてきた佐藤錦について、「(別の)品種に入れ替えないといけないかもしれない。ただ、全国で圧倒的なシェアを誇る山形のサクランボを守り続ける」と述べた。

山形サクランボの作付面積の70%を占める佐藤錦は、甘みと酸味にバランスが良く、色づきも美しいため抜群の人気を誇る。だが、猛暑や暖冬、多雨、雹害といった気候の影響を受けやすいとされる。〝寡占的な栽培〟で危険分散できず、今年のような「凶作」を招いたともいえる。

歴史的な凶作に見舞われた山形サクランボが、大きな岐路に立たされている。

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