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マニア垂涎、国内外の幻の名車を一堂に展示 青森・ツカハラミュージアム  味・旅・遊

産経ニュース / 2024年9月1日 10時0分

カーマニアなら一度は足を踏み入れる価値がある。地元のディーラーが運営する青森県八戸市の「ツカハラミュージアム」。海外の貴重なクラシックカーをはじめ、洋画に使われた幻の名車、一世を風靡(ふうび)した国産車など約50台が展示され、年代を問わず車の歴史、魅力を存分に堪能できる、文字通り唯一無二の〝車の博物館〟だ。これまで数多くの車を乗り換えてきた記者だが、時が過ぎるのを忘れるくらいの高揚感に包まれた。

クラシックカー展示

ツカハラミュージアムは、トヨタカローラ八戸などを運営する塚原企業グループの創業者である塚原宏氏と現社長の塚原安雅氏の親子2代にわたって収集した車を展示しており、平成17年4月にオープンした。「経営者としてモノ作りのおもしろさ、大切さを世に発信したいとの思いがあった」とは同館担当の境沢久人さん。

創業者の車に懸けた情熱に耳を傾けながら中に入った。1910~30年代のクラシックカーを展示している1号館で、まず目に飛び込んできたのが仏ルノー35CV(1911年)。境沢さん曰く「国内で展示しているのはここだけ」。米フォードモデルT(1914年)は、低価格と運転のしやすさなどでベストセラーカーとなり「大衆車の先駆け。車の歴史を語る上で外せない存在」(境沢さん)という希少性の高い車だ。

英国のロールス・ロイス・シルバーゴースト(1922年)は、日本とも関わりが深く、大正天皇の御料車だったという。幽霊のような静かな走行からこの名が付いたと言われ、当時の人たちのウイットなセンスがうかがわれる。

異国情緒たっぷりで気品に満ちたクラシックカーの数々だが、驚いたことに外装をはじめエンジン、パーツも一つ一つ、すべて社員が手作りで製作しているという。「分かる範囲で作っていて昔の車の技術を目の当たりにするとおもしろいですよ」と境沢さん。当時の設計者やエンジニアの情熱に思いをはせながら丹精込めて修復することで、その雄姿をよみがえらせている。

トヨタの伝説を堪能

人々が自動車時代の黎明期を迎え経済、産業の発展に期待を膨らませていた様子が随所に垣間見える中、2号館に足を踏み入れた途端、さらに衝撃を受けた。

何と、映画「007は二度死ぬ」で主演のジェームズ・ボンドが乗ったことで〝ボンドカー〟として一躍、有名になったトヨタ2000GTがまばゆいばかりの輝きを放ちながら出迎えてくれた。トヨタ自動車とヤマハ発動機が共同開発したスポーツカーで、ヤマハのピアノ職人によるウッドパネルの内装や独特の流線型のボディーは、日本の技術力を世界にアピールした車だった。

境沢さんが2000GTにまつわるエピソードを教えてくれた。当時、大卒者の初任給1万5千~2万円の時代に販売価格は238万円だった。かなりの高級車だったことが分かるが、昭和42年5月の生産開始から45年までの約3年間でわずか337台しか生産されていないという。幻の名車と呼ばれるゆえんだ。さらに記者が若い頃、垂涎(すいぜん)の的だったセリカや大衆車として人気を博したカローラなども存在感を放っていた。

技術の進化とともに常に時代の最先端を駆け抜け、役目を終えながら今もなお輝きを放つ名車の数々。境沢さんは「このミュージアムを通して次の時代を担う子供たちにモノ作りのおもしろさや大切さ、技術を伝えていきたい」と力を込めた。(福田徳行)

ツカハラミュージアム 青森県八戸市北インター工業団地4の2の57。JR八戸駅から車で約20分、八戸自動車道八戸北ICから約2分。入場料は高校生以上500円、中学生以下無料。開館日は土日祝日のみで、時間は4~9月は午前10時~午後5時、10月は午後4時まで。館内にはキッズコーナーや各種ミニカー、アパレル商品などの販売コーナーもある。【問】0178・21・1656。

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