ブレることのない「3つの原則」 体制に食い込んで「中から」変えてゆくのが僕のやり方 話の肖像画 ジャーナリスト・田原総一朗<4>
産経ニュース / 2024年10月4日 10時0分
《テレビジャーナリズムの世界でずっと生きていた。〝背負ってきた〟ひとりと言ってもいい。だが、民放各局の番組は、お笑いやクイズ、大食いといったバラエティー番組(決して嫌いじゃないけど…)が幅を利かし、報道やドキュメンタリーの存在感は薄い。田原さんを挑発してみたくなった。今も民放にジャーナリズムは息づいているのか? と…》
もちろん、息づいているに決まっている。当たり前じゃないですか(怒)。
確かに今のテレビ局(民放)はどこも不況にあえいでいる。ネットに広告をどんどん取られていますからねぇ。(テレビ局の)一番の問題は(政府に生殺与奪権を握られている)「免許事業」ということ。その制約の中で僕は、どうやって〝政府とケンカ〟するか、を考えて番組をつくってきました。
そのケンカが、国や自民党を「潰す」のではなく「良くする」ためにしてきたことは、すでに話した通り。今でいうなら「政治とカネ」の問題です。何で(政治資金のカネの流れを)透明にできないのか? 自民党は何とくだらないことをやっているのか? と…。ダメだからケンカ(批判)する、少しでも良くするために、です。
バラエティー番組が多いのは、視聴率が取れるからでしょう。逆に報道番組は視聴率が取れないことが多いから、肩身が狭くなる。解決策は簡単ですよ。面白くて視聴率が取れる報道番組をつくればいい。「良質の…」なんてことにも、こだわらなくてもいい。あらゆるタブーに挑戦して、問題に切り込み、視聴者をうならせる番組をつくればいいんです。
実際に僕はそうやって、テレビジャーナリズムの世界で生きていたし、他局にも面白い報道番組がありますよ。最近はBSにそうした番組が多い。僕も関心を持って見てます。
《タブーを恐れない…のは「言論の自由」を守りたいからだ。これを含め、ジャーナリストとしてずっとブレずに守ってきた『3つの原則』がある》
民主主義社会において「言論の自由」は、すごく大事なことです。(主権者である)国民には「知る権利」があり、ジャーナリズムはそれに応えなければいけません。タブーなどあっていいはずがない。だから、原子力や各メディアが尻込みする大手広告代理店・電通の問題、さらには、天皇制、宗教、政治家が配るカネの問題などに斬り込んできたのです。
2つ目は「日本に二度と戦争を起こさせない」こと。僕は小(国民)学校5年生のときに終戦を迎え、教師が急に正反対のことを言い出したのを見て、すっかり不信感を持った経験があります。世界に目をやれば、ウクライナやパレスチナで今も戦火が絶えることがない。先の大戦でジャーナリズムは歯止めをかけることができなかった。「日本に戦争を…」は二度とあってはなりません。
3つ目は、「健全な民主主義のためには政権交代が必要」であり、そのためにもっと野党が強くなって強靱(きょうじん)な民主主義を確立することが大事です。
民主主義国家で政権交代が(ほとんど)ないのは、日本くらいでしょう。これでは(独裁的な国家である)ロシアや中国と変わりません。日本でなぜそれができないのか? 二大政党制が定着しないのか? 野党が弱過ぎるからですよ。
《一方で田原さんには〝体制派〟という批判がつきまとう。ジャーナリストとして「体制に近すぎる」というのだ》
「批判」するだけではダメだと分かったからですよ。体制にも食い込んで「中から」変えてゆくのが僕のやり方かな。(聞き手 喜多由浩)
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