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秋は夕暮れ 郷愁の世界へいざなうあかね空は心の原風景  彩時記~9月・長月

産経ニュース / 2024年9月6日 8時0分

長い耳が愛らしい「うさぎもなか」

暦の上ではもう秋。酷暑から解放されてほっとする半面、去りゆく夏にわずかな寂しさも感じる。夕暮れ時、見慣れた町の景色があかね色に染まり、足を止めた。西の空は刻々と色を深めて、葉鶏頭を思わせる燃えるような赤い色に。闇に包まれるまでのひととき、町の表情も変わっていった。

春夏秋冬の季節感を情緒豊かにつづった「枕草子」。清少納言は《秋は夕暮れ》と、したためた。「秋はやはり夕暮れがいい」と共感するのは、雲研究者で、「最高にすごすぎる天気の図鑑」(KADOKAWA)などの著書で知られる、気象庁気象研究所主任研究官の荒木健太郎さん(39)だ。

「秋は、高い空に巻雲や巻積雲などの雲が広がりやすく、『盛大に焼ける』ことがよくあります。秋ならではの盛大な夕焼けはとてもいいものです」

そもそも、日没の頃に空が赤くなるのはなぜか?

日中、空が青く見えるのは、太陽が高い位置にあり、青い光が散らばって広がっているから。夕方は太陽が低くなり、太陽光が地球上の大気の層を通る距離が長くなる。すると、波長の短い青い光は途中で散乱してしまい、波長の長い赤い光が残って地上に届く。

「夕焼けは大気中での壮絶な散乱を経て、たどり着いた赤い光が空に広がっている状態なのです」(荒木さん)

赤い光は散乱しにくく、遠くまで届きやすい。これは信号機の「停止」や、「危険」を示す色に赤が選ばれている理由のひとつでもあるとか。

きれいな夕焼けを見て、「明日は晴れる」と思う人も少なくないだろう。天気は西から東へと移り変わることが多いため、西の方角に雲がない夕焼け空が見えれば翌日は晴れる。昔からそう信じられてきた。

「実は当てはまらない場合が多いので、あまり信頼できません」と荒木さん。「夕焼けはそのときの気象状況によって見え方が変わってきます。目の前で焼けている夕空は、そのときにしか出合えない『奇跡』。一期一会の出合いを楽しんでほしい」

NPO法人「日本列島夕陽と朝日の郷づくり協会」(兵庫県高砂市)が選定した「日本の夕陽百選」のラインアップを見てみると、首都圏は夕焼けの絶景スポットが少ない。東より西日本のほうが多い〝西高東低〟。とはいえ、どこで見ても夕焼けの赤い光は心の奥深く届き、郷愁の世界へといざなってくれる。(榊聡美)

創業以来変わらぬ形の「うさぎもなか」

17日は十五夜。名月に付きもののうさぎを模したお菓子が店頭を彩り、目を楽しませる。

中には、100年以上もの間、地元の人々に親しまれている銘菓もある。宇都宮市に本店を構える「下野菓子処 うさぎや」の「うさぎもなか」だ。

香ばしい焦がし皮のもなかには、コクのある小豆の粒あんが、白い皮のもなかには、まったりとした甘みの白あんが入っている。

「初代が卯年生まれで、創業した大正4年も卯年だったことから、屋号を『うさぎや』としたそうです」と、4代目の檜山昌彦さん。

長い耳の何とも愛らしい姿と、口に広がる優しい甘みが心を和ませるこのもなかは、「創業当初から形はずっと変わっていません。店の『文化遺産』として、大事にしていきたい創作菓子です」。1個119円。

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