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「親日国」トルコで薄れる日本の存在感 専門家「防災など技術協力がカギ」

産経ニュース / 2024年12月3日 12時46分

今年、日本との外交関係樹立100周年を迎えたトルコ。「親日国」とされる背景には、日本による経済援助や日本製品の普及があったが、近年は他国製品の台頭で存在感が薄れつつあるという。専門家は日本とトルコが協力して開校を目指す科学技術大学などを皮切りに、綿密な技術協力をしていく必要があると主張する。

日本「信頼できる」

外務省が2012年にトルコで行った調査では、回答者の83・2%が日本と「友好関係にある」「どちらかというと友好関係にある」とし、81・6%が日本を「信頼できる」「どちらかというと信頼できる」と回答。高い好感度が数字にも表れていた。

日本国内では、トルコの友好関係の礎として、明治23(1890)年のエルトゥールル号遭難事件や、昭和60年のイラン・イラク戦争時のトルコ航空による邦人救出が知られる。一方トルコで行った調査では、遭難事件を「知っている」と回答したのは29・9%、邦人救出は20・8%と、認知度は高くなかった。

ゲーム機は通称「ニンテンドー」

日本とトルコの関係に詳しい東洋大の三沢伸生教授(歴史学)は、トルコの人々が日本に親しみを持った背景には、「1980年代以降の経済援助がある」と指摘。2020年度までの累計で、日本の有償資金協力は約7千億円にのぼる。また、交通量の増加に対応するため、イスタンブールにかけられた第二ボスポラス大橋は、1988年に日本企業の協力で建設されたものだ。

安くて高品質な日本製品も人気で、「トルコではゲーム機のことを、メーカーに関わらず『ニンテンドー』と呼ぶ人も多い」(三沢氏)という。だが現在は、より安価な韓国製品や中国製品が人気になっており、トルコにおける輸入貿易相手国(2021年)は中国が11・9%なのに対し、日本は1・6%にとどまる。

防災や自動車、関係深化のカギに

三沢氏は「トルコ市民の目につく製品が中国製や韓国製に代わり、日本に対して好印象を抱いていた現象と同じことが中国や韓国に対して起こる。親日国だとあぐらをかいていると痛いしっぺ返しがあるのではないか」と警鐘を鳴らす。

両国は平成25年に戦略的パートナーシップの構築に関する共同宣言を行った。その中では、「トルコにおける科学技術に関する合同の国際大学の設立」が掲げられており、両国は現在、イスタンブールでトルコ・日本科学技術大学の開校を目指している。

三沢氏はトルコとの友好関係を続けていくうえで、防災や自動車関連などの技術協力という形での支援も必要だとして、「5年、10年先を見据え、率先して若い世代との関係を構築していくことも重要」とした。

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