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永六輔が愛した柔らかいヒレのソースカツ丼、芸能界にも人気が広がった岩手・一関の老舗店  味・旅・遊

産経ニュース / 2024年7月13日 9時0分

永六輔(1933~2016年)が愛したソースカツ丼を求めて6月、岩手県一関市を訪ねた。目指すはJR一ノ関駅前の「和風レストラン松竹」。大正9(1920)年創業の老舗だ。放送作家やラジオパーソナリティー、作詞家などマルチな活動で多忙を極めた故人が一関市を訪れるたびに食した松竹のソースカツ丼は、和風のだしが効いたタレカツ丼に近い深い味わいでファンの1人になってしまった。

朱塗りの丸いお盆にのって永六輔の愛したソースカツ丼は登場した。千切りのキャベツを盛ったご飯の上にヒレカツが3枚、みそ汁と香の物が付く。ウスターソースをベースにした秘伝のタレを潜ったヒレカツはサクサクでありながら柔らかく脂っぽさもなくて食べやすかった。

著名人のサイン並ぶ

ソース味が前面に出るのではなく、ベースのウスターソースの風味がほのかに残る感じ。個人的には大好物の新潟カツ丼のソースカツ丼版。新潟カツ丼は揚げたてのカツをしょうゆタレに潜らせてご飯にのせただけのタレカツ丼だが、ともにシンプルにカツ本来のうまさを堪能できる。

永六輔が愛したソースカツ丼の存在を知ったのはフジテレビ系の岩手めんこいテレビの「山・海・漬」という番組だった。岩手県内で有名人のサイン色紙の多い飲食店として紹介されたからだった。永六輔も通っていたという日本一のジャズ喫茶とも称される一関市のジャズ喫茶「ベイシー」のマスターである菅原正二さんの紹介だった。

実は和風レストラン松竹の3代目店主、細川正二さんの妻、順子さんが菅原さんとは中学校の同級生の間柄だった。「俺が連れて行ったんだよ」と話す菅原さんの人脈は広い。そのおかげもあってか、松竹の店内には永六輔をはじめ狂言師の野村萬斎さん、直木賞作家の村松友視さん、詩人の谷川俊太郎さん、エッセイストでタレントの阿川佐和子さん、ジャズ奏者の渡辺貞夫さん、作曲家の千住明さん、俳優の佐藤B作さんなど著名人のサイン色紙がズラリと並ぶ。

口コミで芸能界に

「菅原さんの紹介で最初に永六輔さんがいらして、お肉が好きで歯がお悪いということを聞いていましたので柔らかいヒレカツのソースカツ丼をお勧めしました」と振り返るのは順子さん。初めて松竹のソースカツ丼を食べた永六輔が平成10年にパーソナリティーを務めるTBSラジオで紹介し、自らも知人を連れて来店、口コミで芸能界に人気が広がっていったという。 「お店にいらっしゃるときはお一人か、気の置けない近しい方々とだけでしたね。仕事の関係者とはいらっしゃいませんでしたね。お忙しい方でしたから、食事の時だけは仕事を離れてくつろぎたかったのかもしれませんね」と懐かしむ。その永六輔は松竹の創業80年に合わせてサイン色紙を寄せている。

松竹のソースカツ丼はロースとヒレがある。カツは各3枚だが、増やすこともできる。JR一ノ関駅は在来線と東北新幹線が乗り入れる岩手県の南の玄関口。下車の際に一度味わってみては…。

(石田征広)

和風レストラン松竹(0191・23・3318) JR一ノ関駅から徒歩1分。東北自動車道一関インターチェンジから車で約10分(駐車場は4台)。営業時間は午前11時~午後2時と午後5~7時。不定休で休む場合は主に月曜日。

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