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千葉・君津の清流でゲンジボタル復活へ 地元住民ら企画、幼虫を放流 子供の環境学習にも

産経ニュース / 2024年11月27日 12時1分

紙コップに入ったホタルの幼虫を放流する小学生=21日、千葉県君津市杢師の大道沢公園(松崎翼撮影)

千葉県君津市の住民らが、同市杢師(もくし)の大道沢公園の清流でゲンジボタルを復活させる活動に取り組んでいる。試行錯誤でホタルが成長しやすい環境を作り出し、毎年、大切に育てた幼虫を放流。地域の子供たちの環境学習にも生かしつつ、かつてのように多くのホタルが舞う光景の復活を夢見ている。

大道沢公園は、土地区画整理事業で昭和61年度から平成6年度にかけて整備された都市公園。園内には、田園地帯だった付近の小川「大道沢」の流れを再現する形で、全長約1・2キロにわたって人工の川が流れている。

住民ら約15人でつくる「大道沢公園ホタルプロジェクト」は平成28年に結成。ホタルが育つ自然を取り戻すため、コンクリートの川に砂利を敷き詰めたり、土手に腐葉土を取り入れたりして住みやすい環境を整備した。

30年からは近くでゲンジボタルの成虫を捕まえ、交尾、産卵させ、巻貝のカワニナを与えて育てた幼虫の放流を繰り返してきた。

学校教育で実を結ぶ

取り組みは学校教育にも取り入れた。今月21日には、地元の市立外箕輪小4年の児童約20人が大道沢公園に集まり、それぞれが、ホタルの幼虫が入った紙コップをそっと川面に沿わせた。この日は、今年5~6月に産まれた計約500匹の幼虫を放流した。

参加した藤本奏斗(かなと)さんは「最初は気持ち悪かったけど、どんどん愛着がわいた」、近藤みなとさんは「私みたいにすくすく育ってほしい」と笑顔を見せた。

ホタルプロジェクトの新井孝男会長(79)は「自分たちの生活の中に虫もいれば動物もいて、一生懸命生きているということを活動を通して分かってもらえれば」と意義を強調する。

長年の取り組みが実を結び、初夏にはホタルが舞う様子も見られるようになった。だが、その数は少なく、ここで放たれたホタルが交尾、産卵し、孵化(ふか)した幼虫がまた成虫に育つ、そんなサイクルの確立にはまだいたっていない。

「ここで生まれたホタルが一生を全うできるような状況になるのが本当の復活で、自分たちの夢でもある。地域の人と協力しながら、われわれの次の世代が、この地域に住み着いてもらえるようなきっかけになる公園にしていきたい」。新井さんたちの挑戦はまだ続きそうだ。(松崎翼)

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