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不登校の子供に「安心できる場所」で笑顔を 東京・練馬で支援続ける長谷部さんと吉岡さん

産経ニュース / 2024年6月24日 21時2分

「石神井・小さなおうち」を開設し、共同代表を務める長谷部暢子さん(右)と吉岡未歩さん=東京都練馬区

全国で約30万人(令和4年度)に上るとされる小中学生の不登校。学校から足が遠のく子供たちにとって、日中安心して過ごすことのできる場所は少ない。そんな現状を憂えた母親2人が昨春、不登校の子供らの居場所「石神井・小さなおうち」(練馬区)を開いた。共同代表を務めるのは、長谷部暢子さん(62)と吉岡未歩さん(44)。子供たちの心身に寄り添う支援を続けている。

子供の意思を尊重

都立石神井公園にほど近い住宅街に建つ民家。小づくりな木造平屋で、どこか昭和レトロな雰囲気を漂わせている。

平日午前、室内に、じゃれ合う子供たちの笑い声が響いていた。利用していたのは小学生十数人。「鬼ごっこしよう」。そんなかけ声があがると、みんなで庭に出て駆け回り始めた。

大人たちから「石神井公園に行こうか」と提案されると、あちらこちらで、うれしそうな笑顔が。

そんな様子を、ニコニコしながら見守っていた長谷部さん。「ここでは、子供たちの『こうしたい』という意思を大切にしていきたいと思っている」と話す。

居場所がなく孤立

3人の母親でもある長谷部さんはこれまで、都立石神井公園で遊び場を提供する「石神井プレーパーク」の代表として子供たちと関わってきた。木に大きなハンモックをつるして登れるようにしたり、秘密基地を造ったり。のびのびと過ごせる空き地などが減り、公園でもボール使用の制限など禁止事項が多くなる中で、子供たちがやってみたいと願う遊びを全力で応援してきたという。

だが、子供たちを取り巻く環境は厳しさを増していると感じている。それを物語る一つが、不登校の問題だ。遊び場の参加者の中には「ずっと学校に行けていない」という悩みを抱える親子もいる。

わが子の居場所探しに奔走し、やっと見つけた場所も、家から遠かったり、利用条件が課されたり、利用できる日が限定されていたりすることも少なくない。利用できる場所を転々としながら、日々を過ごす親子の姿があった。

自分たちが拠点に

長男が小学校に入学して間もなく不登校を経験した吉岡さんも、そんな悩みを抱えた親の1人だった。

安心して利用できる居場所を見つけられずに過ごす中で、子供の心はさらに傷ついていった。「心が不安定になると、外に出たがらなくなる。親子で自宅にこもりがちになっていった」。吉岡さんはそう振り返る。

石神井プレーパークへの参加を通して知り合った長谷部さんに相談する中で、2人にある決意が芽生えていった。自分たちが、居場所の〝拠点〟となろう。

昨年5月、「石神井・小さなおうち」をオープン。月~金曜日に不登校の子供を受け入れている。

子供たちは最初は緊張気味でも、遊びを通して仲良くなり、はつらつとしていく。「明日を楽しみに子供が眠りにつくようになった」。利用者の親からは、そんな感謝の言葉も届くという。

活動は地域のボランティアらに支えられ、最近では学習支援や体操教室を開くなど、支援の幅は広がりをみせつつある。

「子供たちはいつだって成長したいという意欲にあふれている。安心して過ごせる居場所をつくってあげることで、その育ちを支えていきたい」(長谷部さん)。子供たちへ向ける2人のまなざしは温かかった。(三宅陽子)

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