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真の価値は身につけた人にわく感情 夢や未来への想いを込め作るブシュロンのジュエリー 伝統と革新

産経ニュース / 2025年1月16日 9時0分

ブシュロン ジャパンのパトリック・マッラッチニCEO(斉藤佳憲撮影)

1858 年、パリで創業したブシュロンはフランスを代表する高級宝飾ブランドだ。しずく型のモチーフに繊細な彫刻を施した「セルパンボエム」や、大胆で力強い「キャトル」などのコレクションで知られる。現在は2人の女性トップが率い、新たな価値を見いだす取り組みを重ねる。

「166年以上の歴史がありながら、宝飾業界の先駆者として常に新たな取り組みに挑戦し続けるメゾンです」。ブシュロン ジャパンのCEO(最高経営責任者)、パトリック・マッラッチニさんは語る。

宝飾品の価値は、ダイヤモンドや金といった素材よりも、それを身にまとったとき「気持ちが高揚するかどうか」という、身につけた人にわき起こる感情にこそあると考える。

その思想はデザインに反映されている。2020年発表のハイジュエリーコレクション「コンテンプレーション(黙想)」では、「空のかけら」を身にまといたいという〝夢〟を起点に制作。NASA(米航空宇宙局)が開発した素材、エアロゲルを用いてその夢を実現。軽くてもろい半透明の素材を、無色透明なロッククリスタルに閉じ込め、ダイヤモンドを組み合わせることで、洗練されたスタイルを生み出した。

新たな価値を生み出す

マッラッチニさんは「新しい価値を生み出すことは、サステナビリティー(持続可能性)にもつながる」と話す。象徴的なのは、産業廃棄物から再生したリサイクル素材を用いた22年発表のカプセルコレクションだ。希少価値とは対極にある産業廃棄物を、斬新な発想と伝統に裏打ちされた技術で、持続的で価値のある宝飾品に生まれ変わらせた。

「お客さまはわれわれの製品そのものだけでなく、その根底にあるメゾンの考え方も含めて購入される」。その観点に立ち、ブシュロンは22年以降、事業の環境負荷について、リポート「プレシャス フォー ザ フューチャー」で開示。社会的企業としての活動も記している。

例えば、ダイヤモンドの調達は、原産地や加工プロセスを明らかにする。またジュエリーケースも、サステナビリティーの観点でリサイクル可能なアルミニウムとウールフェルトのみを使用したものに一新した。

「とくに若い世代の方々は、自分が身に着けるものがどのように作られているかという背景を気にされます」

紛争などの資金源になっていないか、鉱山で働く人々を不幸にしてはいないか、周辺の環境を汚染してはいないか…。そういった原産地への配慮など、よりよい未来に向けての取り組みを強化している。

「宝飾品は長い年月にわたり、価値あるものとして、そして想いや絆の象徴として、世代を超えて受け継がれるものです。ジュエリーを捨てるという人はいないでしょう。だからこそ、企業として社会に意義ある貢献を果たすことが私たちの責務であり、社会の一部として責任を果たしていくことは当たり前のことです」と静かに話した。

(聞き手 三宅令)

Patrick Marraccini

フランス出身。2002年に仏レンヌ第1大学を卒業。高級ブランドのヴァンクリーフ&アーペルやブリオーニなどを経て、17年10月からブシュロン ジャパン社長。現在は東南アジアエリアも管轄する。

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