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退職増加の年末年始、代行業者に依頼殺到 正月休み明けの予約も「既に30件以上」 

産経ニュース / 2024年12月30日 10時0分

写真はイメージ

年の瀬を区切りに仕事を辞めようと、退職代行サービス「モームリ」への依頼が殺到している。本人に代わって退職の希望を企業側に伝えるサービスで、23日は130件を超える利用があった。運営するアルバトロス(東京都港区)の谷本慎二社長は「年始も30件以上の予約が既に入っている」と明かしたうえで、「ブラック企業は社員と対話していれば、こうした退職代行の利用を思いとどまらせ、退職も防げたかもしれないと実感してほしい」と訴えている。

暴力、性加害、深刻化する退職の現場

同社は10日、モームリのX(旧ツイッター)の公式アカウントで「退職理由で信じられないようなレベルのものをまとめました」と投稿した。6時間にわたる罵倒、生理痛や熱中症を「甘えだ」と叱責するハラスメントなどを列挙。「パパ活をしないか」との提案、顔がパンパンになるまで殴られる暴力、アルコールを強要してからの性加害など、罪に問われる可能性がある行為も含まれている。

谷本社長は「公表するために表現を穏やかにしているほどで、もっとひどいものもある。すべてを事実確認するわけではないが、会社側にも伝えており、依頼者が自分に都合のいいようにいっているだけではない」と強調。「重い案件がこれだけあるということは、それだけブラック企業での退職が深刻化しているということの表れだ」と語った。

依頼者の多くは警察や労働基準監督署などに訴える気力を失っており、証拠集めや裁判の準備などを断念して、退職代行を頼るのだという。谷本社長は「体感では理不尽なブラック企業が2割、依頼者に問題があると思われるケースが2割、双方に非があるのが6割」と分析する。

人材流出で悪循環

一般的に、転職は年や年度の区切りとなる12月末や3月末に増加する傾向がある。退職代行の利用件数は冬のボーナスを受け取った12月後半以降に増え、翌年3月の年度末に向けてさらに増加、新卒が入社した直後の4~5月にピークを迎えるという。モームリでは毎日の実績を公表しており、12月後半は毎日50~130件程度となっている。そのうち正社員からの依頼は連日30件を超えている。

谷本社長自身、会社員時代に過酷な労働環境に置かれた経験を持つ。その経験を踏まえ、モームリは令和4年にサービスを開始した。利用者に寄り添い、年間2万件の依頼を手がけるようになった。

谷本社長は「一般社員やパート、アルバイトなど、退職の意志を自分で伝えられない利用者を想定していたが、最近は管理職の利用も増えている」と話す。退職しづらい会社ほど、むちゃな引き留めを行い、退職代行が利用される。人材が流出し、人手不足でさらに厳しい引き留めを行うようになる悪循環に陥るという。

退職データで離職率低下へ

同社はモームリで蓄積されたデータを労働者や企業に開示するサービス「MOMURI+(モームリプラス)」も始めた。企業側は退職データから労働者が会社に求めていることを理解し、離職率の低下につなげることができる。また、働く側は、就職先が退職代行の利用がない〝ホワイト企業〟かどうかを知ることができる。

谷本社長は「企業は求人ではいいことしか、いわない。労働者も面接では自分の長所をアピールする。お互いさまな面もあるので、悪いところを理解し合えるようにしないと、不幸な退職が続いてしまう」とアドバイスしている。(高木克聡)

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