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恐怖の学び舎 スパルタの日々 75点だと1発たたかれ、70点で2発 話の肖像画 報道カメラマン・宮嶋茂樹<7>

産経ニュース / 2024年7月7日 10時0分

昭和49年4月、中学入学の月に。厳しいスパルタ教育を知ったからか、表情は暗い…

《難関を突破して入学した有名私立中学で待っていたのは極端なスパルタ教育。小学校を卒業したばかりの宮嶋少年は、最初の授業で〝恐怖の洗礼〟を受ける》

いきなり9発ビンタされました。社会の授業に私と何人かが「地理小辞典」を忘れたんです。「チ・リ・シ・ョ・ウ・ジ・テ・ン」の字数分で8発、なぜか濁点分が1発で計9発。右の頰を押さえ衝撃を吸収できないようにしてたたかれました。

そのとき、左耳だけ「キーン」と耳鳴りがして、とまらなくなりました。鼓膜が破れたんだと思います。先生の指が耳に当たったんでしょうね。鼓膜は気圧の関係ですぐ破れますから。耳鼻科には行かず自然に治しましたが、しばらくは聞こえにくかったです。

顔は腫れ、頰には先生の指の跡が残りました。厳しいと聞いてはいましたが想像以上でした。父も「12歳の皮膚が柔らかい顔をたたくのか」と驚いていたと思います。私の顔を見て「辞めるか?」とも言いましたから。中学1年の授業初日のことでした。

中学生でも留年制度があって実際、同級生に留年組がいました。私の中学入学時、2年に進級できなかった1歳年上の人で、6年間同じクラスでした。みんな先生の恐怖から、どうやって逃れるかばかりを考えていましたから、生徒間のもめごとなどはありませんでした。

大量の英文の丸暗記など、作り話のようなことがまかり通っていました。将来の夢なんかより、「進級できるのか」という思いで、毎日精いっぱいでした。体罰を防ぐには勉強するしかなく、みんな必死でした。

そんな日々が続いていましたが、あるとき模擬試験を受けたら問題が簡単に思えることに気づいたんです。中学2年で3年の全国模試を受けさせられるんですが、英語と数学の問題は楽に解けました。全国順位も結構、良かったと思います。

《学力は上がったが、体罰もエスカレートした》

当時、先生の半分は生徒に手を上げていたと思います。中学は男子校でしたが、高校に進学すると、クラスによっては高校受験した女子が2~3人、入ってきます。この女子生徒たちも同じように体罰を受けていました。学園長の英語の授業が特に怖くて…。テストは80点以上が合格で、75点だと1発たたかれ、70点で2発に。合格点を取れない生徒がクラスの半数以上いると2倍になります。尻を棒でたたき上げるんですが、跳び上がるくらい痛いんです。

たたかれる場所は、顔か尻かを選べました。私は迷わず「顔で」と言ってました。顔は手でやられますが、痛みがまひするんです。8発を過ぎるとしびれて痛くなくなります。でも尻はずっと痛いんです。机に手をついた姿勢でたたかれると心が折れます。震えるぐらい痛いんです。女子も男子の前でスカートの上から「バーン」とたたかれていました。今から思うとすごい世界です。

校則も厳しかった。常に制服着用で喫茶店、ボウリング場などは全て出入り禁止。喫煙とカンニングは即刻退学です。とにかく、ショッキングでしたから「ついて行けない」「心がもたない」と自主退学する生徒もいました。唯一、認められていたのが「辞める自由」でした。

でも、当時はそのスパルタ教育が新聞やテレビで積極的に取り上げられていました。さすがに、生徒がたたかれているところを出しはしませんでしたが…。マスコミが注目するくらい、画期的な進学実績を出していたんです。

もちろん、極端な教育は昔の話。今はスパルタなんてありません。念のため。(聞き手 芹沢伸生)

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