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「越境ECフリマ」で個人輸出 人気の日本中古品、海外販路の垣根低く 近ごろ都に流行るもの

産経ニュース / 2024年9月28日 13時0分

「平成レトロなコンデジが若者に世界的人気です」と手にする荒井智代さん。公務員から転じ、eBayにカメラを出品している=東京都港区のイーベイ・ジャパン(重松明子撮影)

日本から海外に中古品を販売する、越境EC(電子商取引)による〝国際フリーマーケット〟が活況だ。モノを丁寧に扱う日本人が所有するブランド品やカメラなど「ユーズド・イン・ジャパン」の信頼度が高く、また漫画、アニメ、ゲームといった日本のオタクコンテンツも垂涎(すいぜん)の的だ。円安が追い風となり、メルカリなど国内の主要ECの輸出を支援する「Buyee(バイイー)」では、直近の四半期(4~6月)の流通総額(輸出額+手数料等)が過去最高の203億円を記録した。個人輸出で稼ぎ、自分らしい働き方を手に入れた女性にも取材した。

円安時代のドル資産形成

「大谷翔平のカードが値上がりしている」「結婚時は、真美子さん(夫人)のバスケ選手時代のカードも輸出されていましたね」

20億点の商品規模を誇る米国のフリマサイト「eBay(イーベイ)」に、日本からの出品を支援する企業イーベイ・ジャパン(東京都港区)での取材日。メジャーリーグの大谷選手が50本塁打・50盗塁を達成したとのニュースが流れ、その話題から始まった。

「日本からの出品も、アメリカを中心とした世界のトレンドの影響を受けます。真田広之主演のドラマ『SHOGUN』のエミー賞効果で、甲冑や掛け軸などの和のインテリア、侍関連グッズも注目度が上がりそうです」と広報担当。

同社の転機は2020年。新型コロナウイルス禍で、来日できない外国人から日本製品を買いたいというEC需要が急増。日本人出品者向けに日本語でのカスタマーサポートを始めるなどした結果、輸出額が昨年までに倍増したという。

「母親に捨てなさいといわれていた、8年分の『週刊少年ジャンプ』を輸出した人。こけしをまとめ買いしてくれたアメリカ人から『コケシカフェを開くよ』とのメッセージが届いた人もいる。販路を広げると、海外には結構マニアな方がいらっしゃる」。イーベイ・ジャパン公認パートナーで、出品者向け勉強会を開いている荒井智代さん(50)が語った。

もとは特許庁勤務だったが11年前、時間や場所に縛られない自由な働き方を求めて退職。その翌年、個人でイーベイ輸出を始め、7カ月で公務員時代を上回る月間100万円の利益を達成した。扱う品目はカメラ専門。趣味でもあり、特許審査でカメラを担当していたのも強みだ。前職仕込みの調査力で、海外で高く売れる品をリサーチし、日本で安く仕入れている。

「最近、平成時代のコンパクトデジタルカメラ〝コンデジ〟が、国内外の若者の間で大人気。スマホは性能が良すぎるから、わざと古いカメラでエモい写真を撮りたいという流行ですね。おじいちゃんの遺品の昭和のフィルムカメラも高く売れる場合がある。箱や説明書が残っているのも日本の中古品の傾向で、一気に価値が上がります」

イーベイのコミュニケーションは英語だが、翻訳機能などの人工知能(AI)が進化するとともに、海外発送もコンビニからできるようになりハードルが低くなってきた。荒井さんの生徒は現在230人。50代男性が最も多く、8割が会社の給料以外の収入を作りたいという副業だが、「すぐに一発でもうかるわけはない」と釘を刺す。「最初は評価ゼロから始まり、膨大な数の商品に埋没しちゃう。出品タイトルや写真を工夫して検索に引っかかるように、コツコツ続けることが大切です」

9月18日、米連邦準備制度理事会(FRB)が4年半ぶりの利下げを決定。輸出に有利な円安から円高に振れるとの予測も出た。 「それでもまだ1ドル140円代。私が始めた時は1ドル100~110円でしたので全然余裕です。為替の波はあっても需要は減らない。海外への販路も使ってドル建てで資金を持っておくのは、これからの資産形成に向いている」と荒井さん。

フリマも国境を越える時代。1万キロ先の誰かが使ってくれるかなぁ…なんて妄想しつつ、チマチマした不用品処分がいつの間にか壮大化していた!?(重松明子)

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