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永遠のケービン⑥ 「かぶりつき席」からの絶景 帰ってきた令和阿房列車で行こう 第二列車

産経ニュース / 2024年6月19日 10時0分

近未来的なてだこ浦西駅(いずれもサンケイ1号君撮影)

跨座(こざ)式モノレール「ゆいレール」の終点・てだこ浦西駅は、那覇市のお隣、浦添市にある。

駅名は公募で選ばれ、「てだこ」とは、琉球方言で「太陽の子」という意味だそう。

琉球王国の英祖王(1229~99年)が生まれるとき、母親が太陽をのみ込む夢をみたことから王は「太陽の子(てだこ)」と呼ばれたという。それにあやかっての命名だというから、地元の期待の大きさがわかる。

令和元年に開業した駅は市街地のはずれにあるためか、飲食店は見当たらなかった。

与那原(よなばる)駅舎から浦添までの道すがらにあった食堂で、テビチ(豚足の煮つけ)定食を食べておいて良かった。地元民に愛されている店を運転中でも瞬時に発見できるサンケイ1号君の能力は、特筆に値する。

駅の隣には、千台近く収容できる巨大な駐車ビルがあり、低層階はほぼ満車だった。駐車料金は1時間100円と安い。マイカーでここまで来て、モノレールに乗り換え那覇市街地へむかうパーク&ライドが定着しつつあるようだ。

ただ、広いスペースをとっているバス乗り場にバスは1台も停(と)まっていなかった。発着本数も少なく、ターミナル駅としては物足りない。まだまだ発展途上というところか。

揚げ足を取るのはそれくらいにしてさっそく乗り込もう。モノレールは日中10分間隔で運行され、那覇空港まで17キロを37分かけて走る。1号君から「運転席すぐ後ろの『かぶりつき席』に座るといいですよ」とアドバイスを受け、素直に従った。

老いては子に従え。還暦を過ぎても後輩に従ってさえいれば、何の問題もない。

唯一の懸念は、前に座りたがる子供や愛好家との争いだ。大の大人が、席取り合戦をするほどみっともないことはないが、幸いホームには子供も愛好家もおらず、すんなり座れた。

定刻通り発車したモノレールは、全線で唯一のトンネルを抜け、浦添前田駅へ。

ここで1号君とはお別れ。本業の取材活動に戻らねばならない。でも、彼のファンの皆様、安心してください。今月下旬に発車予定の第四列車にも同乗願う予定です。

それにしても「かぶりつき席」からの眺めは素晴らしい。

首里付近からは、左手に再建が進む首里城の工事現場、眼下に那覇の街並みと東シナ海が望めるばかりか、ジェットコースター気分も味わえる。首里―儀保(ぎぼ)間は60パーミル(1キロ進む間に60メートルの高低差がある)の急勾配で、一気に駆け下りるからだ。

乗客は駅ごとに増えていき、県庁前駅付近はラッシュ時並みの混雑になっていた。

20年前の開業時には「便利な自動車に慣れた島人(しまんちゅ)が乗ってくれるのか」と懐疑的な意見も少なくなかったが、今やさらなる延伸も論議されている。

令和のケービン、永遠なれ。とつぶやいたところで、第二列車はおしまい。明日からは、那覇から一気に札幌へ。「北の鉄路を考える」のこころだぁ! (乾正人)

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