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中央官庁情報 金融庁 世の中のお金がスムーズに回る仕組みを整備する 受験ジャーナル

産経ニュース / 2024年12月20日 17時32分

金融庁

国家公務員総合職試験,一般職試験に合格すると,その主な職場は「国の行政機関」である1府12省庁,つまり,内閣府および11省+国家公安委員会(警察庁)となる。さらに各省の下には外局である庁や委員会が置かれており,地方に出先機関を設けている省庁も多い。国家公務員の職場は実に幅が広いといえるだろう。それぞれの官庁が取り組んでいる仕事内容や課題などを紹介する。

金融とは

●経済・社会を支える金融 「金融」とは何か?「金融」は直接目には見えないものなので,皆さんには想像しづらいかもしれない。私たちは,いったいどこで金融とかかわっているのだろうか?

コンビニでの公共料金の支払い,銀行口座における出入金,住宅ローンの借入れ…皆さんの周りで行われているこうした行為はすべて「金融」である。ほかにも,設備投資のための企業の借入れ,株式や債券の売買から,資産の証券化といった専門性の高いものまで含めて,金融とは「資金の融通」,言い換えれば「世の中のお金の流れ」ともいえる。

あらゆる人々,あらゆる企業にとって,お金とのかかわりを断ち切ることは不可能である。どんなにやる気や能力がある人でも,どんな革新的なアイデアを持つ企業でも,お金がなければ,自らの思いを実現することは困難だろう。その意味で,「金融」は経済・社会を支えるインフラであり,そういった人・企業が必要な資金を調達できる環境を整備することは,経済の発展に極めて重要であるといえる。

●金融の仕組み 「金融」には,資金の余っているところ(とき)から資金を必要とするところ(とき)へ移すことができる機能がある。この機能により,能力・やる気・アイデアのある人や企業にお金が回り,その活動により経済・社会が発展し,人々の生活の質の向上に寄与することができる。

さらに,「金融」には将来の不確実性を回避するための機能もある。たとえば,将来病気になったとき,高額な医療費をカバーする医療保険などが挙げられる。

このように,「金融」は私たちの社会生活の(目に見えない)インフラとして私たちにさまざまな恩恵をもたらすが,一方で,予期せぬ事情変更が生じた場合,「金融」もその影響を受けるというリスクを抱えることとなる。

そして,「金融」とはお金の流れなので,一度予期しえないリスクが生じた場合,経済・社会に与える影響は非常に大きなものとなる。たとえば,一つの金融機関が破綻することによって,融資を受けている企業が資金を調達することができなくなり,連鎖的に企業が破綻するといったことが起こりえる。「金融」に内在するこうしたリスクを完全に排除することは不可能なため,リスクとうまくつきあいながら,世の中にお金がスムーズに回るように「金融」の仕組みを整備していくことが必要となる。それを担当しているのが金融庁であり,金融庁職員である。

金融行政とは

●国民一人ひとりを豊かにする仕事 時代や地域によって金融の形態や担い手が変わることがあっても,「資金の融通」という金融の本質的な機能はどの時代,地域においても変わることはない。金融行政とは,時代および金融そのものの移り変わりに応じて,金融の機能を十分に発揮させる仕組みを構築することによって,わが国の経済・産業を活性化し,国民一人ひとりを豊かにする仕事,すなわち,日本経済の根幹を支える仕事であると考えている。

金融庁では,経済・社会のインフラである「金融」が十分に機能し,世の中にお金がスムーズに回る環境にするために,・あらゆる人々,あらゆる企業が金融を安心・便利に利用できるようにするためのルール作り ・あらゆる人々,あらゆる企業に金融サービスを提供する金融機関の検査・監督や市場での取引きの監視 ・グローバルな金融の世界において,より健全かつ機能的な金融の仕組みを世界的に構築するための国際交渉・国際協力 等を行っている。

金融庁の主な業務

○モニタリング部門 銀行,保険会社等の金融機関を検査・監督する,業務範囲の「広さ」と「深さ」が特徴の部門。具体的には,メガバンクや地域金融機関等の規模や特性に応じたリスクを特定し,対話を通じて対応を促すセクションや,金融機関の許認可や行政対応等を行うセクションがある。金融機関,弁護士,会計士等出身の職員も多く配置され,マネーローンダリング等の特に重要なテーマについては,業態横断的なチームを設置することもある。

○市場監視部門 証券取引等監視委員会は,市場で行われる株取引などの日常的な監視や,インサイダー取引などの不公正取引の調査・告発を行っている。また,金融庁採用職員だけでなく,司法関係者,公認会計士,民間企業経験者などさまざまなバックグラウンドを持つ職員が,監視のプロとして一体となり,日本の市場に対する信頼性を確保するため,日々の業務に当たっている。

○国際部門 経済活動や金融取引がグローバルに行われている現代において,金融システムの安定のため,国際的な政策協調は極めて重要である。国際部門は金融技術革新や環境問題を踏まえた金融分野の新しい課題の解決をリードするとともに,新興国への技術協力等を通じて,海外当局との連携強化にも取り組んでいる。

○市場証券部門 証券市場にかかわる制度の企画・立案を担う企画部門や,証券会社等の業務運営状況をモニタリングする監督部門,業者の業務実態を把握する検査部門が連携し,市場の透明性・公平性の確保と健全な発展を図っている。新しいトレンドにもスピード感を持って順応し,「投資家保護・利便性向上」と「市場・業界発展」の双方について,バランス感覚を持つことが求められている。

○開示・会計・監査部門 日本には,3,500社を超える上場企業があり,グローバル化,技術革新,少子高齢化などの大きな環境変化が続く中で,企業が直面する経営上の課題も複雑化している。この部門では,上場企業の開示ルールを定め,投資家の投資判断に必要な情報が十分かつ正確にわかりやすく提供されるようにするとともに,企業と投資家との対話を通じて,企業の中長期的な成長を促している。

○ IT 部門 金融機関のシステムが,誤作動や停止,サイバー攻撃により,利用者へ支障をきたさないよう検査・監督する業務のほか,FinTech の出現により変革を迫られる金融機関のモニタリング等を行い,利用者を保護しながらイノベーションを後押しするため,法令の見直し等の取組みを進めている。金融行政にとってIT 分野は必要不可欠な領域となっている。

職員の育成方針

前述のとおり,金融庁職員は,金融行政が有しているツールを使って,日本経済の発展,人々の生活を豊かにする/守ることを職務としている。金融とは経済・社会を支えるインフラなので,金融庁職員にとっては,金融にとどまらず経済・社会全般について幅広く問題意識を養い,多角度から問題にアプローチする能力を身につけることが非常に重要である。

そういった観点から,金融庁の新卒採用においては,官庁訪問時点で金融や経済の専門知識は要求していない。入庁後のさまざまな業務や研修を通じて,金融の専門知識のみならず,幅広い知識・経験を身につけ,それを日々の業務に活かしていくことが重要だと考えている。

また,金融分野には,専門性を磨ける分野がいくつもあるので,自分なりの興味や問題意識に応じて,専門性を深めていくことも可能である。

なお,金融機関を含む企業活動のグローバル化に伴い,金融庁においても国際的な業務の重要性は非常に高いことから,海外留学や国際機関等への派遣も積極的に行っている。

また,技術革新により日々進化するFinTech やサイバーセキュリティ対応に必要とされるIT の知識を深めるため,IT 大学院への留学や民間企業等への出向の機会も設けている。

人事データ

配属・移動

異動については,各部局でさまざまな業務を経験する機会を設けるとともに,他省庁や民間企業,国際機関等への出向も実施している。ただし,特に転居を伴うような異動の機会に際しては,十分に職員と意見交換をし,意に添わない異動については原則として行わないようにしている。

昇任については,職員の能力や勤務成績等を踏まえて実施している。

また,子育てや介護の機会に際しては,おのおのの状況に配慮した人事を行う等により,金融庁で持続的に仕事ができるよう配慮している。

採用動向・採用

[採用者数] 令和5年4月1日時点における新規採用者数は,総合職12 人,一般職(大卒)24 人,一般職(高卒)5人。

[求める人材・採用動向] 法律,経済区分の出身者に限らず,理工系など多様なバックグラウンドからの採用実績がある。試験区分や出身学部,新卒・既卒による採用上の有利不利は一切なく,採用後もこれらの違いに基づくキャリアパスの違いはない。採用面接時点では,金融の専門知識の有無は一切問わない。金融は変化の激しい分野であることから,それにキャッチアップする能力=成長力が最も重要だと考えている。したがって,社会動向に対する好奇心,未知の分野も積極的に学ぼうとする向上心を重視し,人物本位で採用することとしている。

(公務員試験受験ジャーナル 公務員の仕事入門ブック・6年度試験対応・記事内容を一部編集しています)

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